「みなさんに、これから商品を作る材料を
買っていただくことになりますが、
残念ながら、今、みなさんは、無一文です。
したがって、まず最初に、
銀行からお金を借りていただきます。
つまり……借金です」
ざわ……ざわ……
最初から借金だって?
一瞬、面食らったが
でもよく考えてみると、なにも驚くことではない。
起業するときにかき集めたお金が、
会社の設立費や設備投資として消えてしまい、
運転資金は「借金」でまかなうというのはよくあることだ。
というか、自分の会社がそうだ。
もちろん、僕も会社勤めのサラリーマンの頃には、
「借金」というものに対して、過剰な拒否反応を持っていた。
金の貸し借りはしてはいけない。ましてや借金など
でも、実際に経営者になってみると
「借金」はそれほど特別なものではないということがわかった。
経営者にとって、借金など、金策の手段のひとつであり、
日常茶飯事のことなのだ。
金が尽きれば、会社は終わりである以上、
リスク(思わぬ出費)も含めて、金があるに越したことはない。
下手に躊躇して、借金しないで、切り抜けようとして、
肝心のときに、やっぱり金が足りず、大変な目にあったことも何度もある。
(そういうときは、親戚にお金の相談をするなど、とてもみじめ)
まわりは、まだざわついているようだが……、
どうやら実際に経営をしている人間は、ほんの少ししかいないようだ。
なるほど、こうして、冷静にまわりをみれば、
参加者のほとんどは、おそらく、どこかの企業の部長・役員クラス、
経営の勉強ということで、会社が受けさせた研修なのだろう。
借金の意味、重要さ、恐ろしさ……そういう実体験のない彼らなどに
地獄を経験した自分が負けるわけがない……絶対に勝つる。
などと考えていたら、
「ところで、借金するといっても、このゲームには破産はないので、
安心してくださいね」
突然、講師が、ニコニコしながら、そんなことを言い出した。
ええ!?そうなの!?
講師は、借金のシステムについて、さらにこう説明した。
「もちろん、現実の経営では、破産が存在しますが、
このゲームで破産を認めてしまうと、
資金が0になってしまい、残り時間をただ何もしないで、
ぼーっとほかの人のプレイをみて過ごすだけになってしまいます。
それでは、せっかくセミナーに参加した意味がありません。
そこで、毎年、―もちろんゲームの中の時間でのことですが―、
銀行から、追加で借金ができるようになっています。
もちろん、赤字はどんどん計上されて、増えていきますが……。
しかし、毎年、運転資金は補充できますので、
挽回のチャンスは常にあると言って良いでしょう」
なるほど、もし午前中で破産しちゃったら、
午後はずっと何もしないで眺めているだけになってしまう。
講師の「破産はない」という話はとても納得した。
だが、甘い話だけではなかった。
「もちろん、それでは、現実の経営と比べて
ゆるい設定となってしまいますので、このゲームでの借金の金利は、
……このような数字にさせていただきました」
ぐぐううううっっ!!
な、なんだこの金利は!?暴利だろ、これ!?
「どんな赤字会社でも、毎年、借金ができるのですから、
この金利は非常にリーズナブル、
……良心的金利となっております」
ざわ……ざわ……
詭弁だ。この金利の数字は、ようするに、プレッシャー。
さあ、他人の足をひっぱってでも、利益を出せ、
出さないと、借金地獄という底なし沼に、飲み込まれてしまうぞ、
という明確な脅し。
おそらく、講師が一番恐れるのは、
参加者全員が、たいした損も得もせず、動きのないまま、
ゲームが終わってしまうことだ。
でも、こんな高金利なら、参加者は、他者を蹴落としてでも、
必死に黒字を出していかざるを得ない。
こんな金利にしたのには、おそらく、そういう理由があるのだろう。
このゲームは、勝ち組と負け組が、はっきりとわかれることになる
そんな直感が走った。
「では、銀行からいくら借りるか、ひとりひとり申告してください」
講師の指示で、時計回りにひとりひとり、
銀行からいくらお金を借りるか申告していく。
これからどんなゲームが行われるかわからない、
借金すれば、その分、利息を返していかなくてはならない、
みな考えながら、限度額の10%〜30%ほどの、
無難な様子見の金額を提示していった。
そうだよな。最初から、いきなり大きな借金して、
もし、失敗したら、多額の負債になるし、
その後、利息を返すだけで精一杯という状況になるかもしれない。
しかも、現実の銀行と違って、とても高い金利……いわば暴利。
もし、足りなければ、また来年、追加で借りることもできるのだから、
まだゲームの内容が見えていない現時点では、
無理にたくさん借りる必要なんかない。
ここは、みんなと同じような金額で……。
そう考えていたところ、僕の隣の席の
一癖も二癖もありそうなおっさんが講師にこう述べた。
「限度まで」
ざわ……ざわ……
うぅ……!!
いきなり、ルール上の限度金額いっぱいの借金。
も、もしかして、こいつリピーター(ゲーム経験者)か……!?
だが、まてよ、こいつの判断は正しいかもしれない。
このゲームは、材料を買って、加工して、商品を作って売りさばく、
という一見シンプルなゲームだが、
おそらく最大の問題は、競争相手がいるということだ。
まだ明かされていないが、おそらく、設備投資をして、
他社よりも、有利な状況を作り出し、
競争に勝っていかないとならないのだろう。
だとすると、資金は多ければ多いほうがいい。
そうさ、現実の経営だってそうじゃないか。
借金はしない方がいい、借金は少ない方がいい、
そんなのはわかってる、でも、それは経営者の考えではない。
経営者にとって、金は寿命……、戦場で言うところの実弾だ。
それが尽きたら、何も打つ手がなくなる。
だから、むしろ、逆の発想……
借りられるだけ借りろ、だ。
どうせ、経営者なんて、コケたら、それで終わり。
1000万借りて、破産するも、
3000万借りて、破産するも同じこと。
たすかった……もう少しで見誤るとこだった。
講師にむかって、僕はこう宣言した。
「飲茶です……限度まで」
そう思ったのにっ・・・! ざわ・・・
既に公開したものっ・・・!
再放送っ・・・! ざわ・・・
ざわ・・・
ばかもーんっ!!!
通るかっ!そんなもん!!
(飲茶)ノーカウント!ノーカウント!ノーカウント!
(飲茶)えーと、経営破綻録カイジかな?
(飲茶)これからも、さらにデジャブが・・・。orz
(飲茶)ん?
この後おっさんに嵌められるんですね、わかります
(飲茶)いえ、このおっさんは、もう出てきませんw
(飲茶)がんばって、続きをアップします。
もう12まで一気掲載でよいのでは?というか誘導したほうが・・・
(飲茶)12まで、がんばってアップします>_<
って、すみません、完全に、「ほぼ3日に一度の更新ができない」ときの「逃げの更新」になってます。orz
(飲茶)そういうゲームがあるんですね。一応、本当のセミナーのことを書いているので、もしかしたら、同じゲームかもしれませんね(^^)
まんまカイジじゃないですか?wwwww
(飲茶)カイジ風に脚色していますが、ノンフィクションです。
ゲーム(ルールは多少変更しています)も実際にありますし、セミナーも実在します。そこで、飲茶がとった行動も同じです。(展開や心理描写は脚色してますが)
※本当に限度まで借金して開始しました