73 名前: 飲茶 投稿日: 2013-01-11 18:05:25
『――エピローグ――』
最後に「議論とは何か」という根本的な話をして、終わりとしたい。
『議論とは何か?』
ネットで検索すれば、「議論とは○○である」という定義はいくらでも見つかると思うが、そういう形式的な定義は、だいたいはただの『お題目』であり、『はっきり言ってどうでもいい』。
議論の本質に迫るにはそんなことよりも、『そもそも、あなたは何を求めて議論と呼ばれる行為を行っているのか?』という目的、動機(もっといえば欲望)について問いかけるべきである。
ようするに、
『どうなりたくて、あなたは議論をしているのか?』
『どうなったら、あなたにとって議論が成功したと言えるのか?』
という話であるが、その答えは、おそらく、
「『自分の考え(主張、問題意識)』を『相手(他者)』に理解してもらったうえで、相手から『自分ひとりでは気がつかなかった視点(反論、提案)』を提示してもらい、それによって自分の中に今までになかった『新しい考え』が生じたとき」
であろう。
この状態になったとき、僕たちは『ああ、議論をやって良かった』と思えるわけだし、そもそも僕たちはこの状態を求めて、「議論と呼ばれる行為」を始めたはずである。(他人を論破して快楽を得たいという馬鹿げた目的で始めたのでなければ)
結局のところ、僕たちは、『他者の知見(自分の知らなかったこと、気づかなかったこと)』という『利益』を求めて議論を行うのである。
最後に「議論とは何か」という根本的な話をして、終わりとしたい。
『議論とは何か?』
ネットで検索すれば、「議論とは○○である」という定義はいくらでも見つかると思うが、そういう形式的な定義は、だいたいはただの『お題目』であり、『はっきり言ってどうでもいい』。
議論の本質に迫るにはそんなことよりも、『そもそも、あなたは何を求めて議論と呼ばれる行為を行っているのか?』という目的、動機(もっといえば欲望)について問いかけるべきである。
ようするに、
『どうなりたくて、あなたは議論をしているのか?』
『どうなったら、あなたにとって議論が成功したと言えるのか?』
という話であるが、その答えは、おそらく、
「『自分の考え(主張、問題意識)』を『相手(他者)』に理解してもらったうえで、相手から『自分ひとりでは気がつかなかった視点(反論、提案)』を提示してもらい、それによって自分の中に今までになかった『新しい考え』が生じたとき」
であろう。
この状態になったとき、僕たちは『ああ、議論をやって良かった』と思えるわけだし、そもそも僕たちはこの状態を求めて、「議論と呼ばれる行為」を始めたはずである。(他人を論破して快楽を得たいという馬鹿げた目的で始めたのでなければ)
結局のところ、僕たちは、『他者の知見(自分の知らなかったこと、気づかなかったこと)』という『利益』を求めて議論を行うのである。
74 名前: 飲茶 投稿日: 2013-01-11 18:10:40
しかしである。それが議論の目的であるとするなら、ちょっと面倒なことになる。というのも、当の議論相手も、それを求めているからだ。
たとえば、互いに『他者の知見を得よう』とした場合、次のようなことが起こりがちである。
@Aさんが、『自分の知らない意見(他者の知見)』を得ようとして、Xの方向(Aさんの問題領域)に議論を進める。
Aしかし、議論相手のBさんの『論じたいこと』は、Yの方向(Aさんと違う問題領域)にありにBさんはそっちの方向に議論を進めてしまう。
B「AさんはX方向に議論をひっぱろうとし、BさんはY方向に議論をひっぱろうとする」という『綱引き』がはじまる。
C互いに自分の『問題領域』『前提』『論点』にひきずりこむことに終始し、まったく話がかみ合わず、議論が建設的に前に進まない。(なぜなら相手が、私の土俵――『私の問題領域』『私の前提』『私の論点』――の上で、レスを返してくれないから)
D議論が進まないことに互いに苛立ちをおぼえはじめ、徐々に雰囲気が悪くなる。また、『Aさん VS Bさん』という対立構図がはっきりするので、Cさん、Dさん、その他の人たちは横レスしにくくなってレスを控えて傍観モードに入る。
E結局、『論じたいこと』が違う以上、どんなに言葉を交わしても議論が前に進むはずも無く、やっぱり話がかみ合わないまま
――終了!
たとえば、互いに『他者の知見を得よう』とした場合、次のようなことが起こりがちである。
@Aさんが、『自分の知らない意見(他者の知見)』を得ようとして、Xの方向(Aさんの問題領域)に議論を進める。
Aしかし、議論相手のBさんの『論じたいこと』は、Yの方向(Aさんと違う問題領域)にありにBさんはそっちの方向に議論を進めてしまう。
B「AさんはX方向に議論をひっぱろうとし、BさんはY方向に議論をひっぱろうとする」という『綱引き』がはじまる。
C互いに自分の『問題領域』『前提』『論点』にひきずりこむことに終始し、まったく話がかみ合わず、議論が建設的に前に進まない。(なぜなら相手が、私の土俵――『私の問題領域』『私の前提』『私の論点』――の上で、レスを返してくれないから)
D議論が進まないことに互いに苛立ちをおぼえはじめ、徐々に雰囲気が悪くなる。また、『Aさん VS Bさん』という対立構図がはっきりするので、Cさん、Dさん、その他の人たちは横レスしにくくなってレスを控えて傍観モードに入る。
E結局、『論じたいこと』が違う以上、どんなに言葉を交わしても議論が前に進むはずも無く、やっぱり話がかみ合わないまま
――終了!
75 名前: 飲茶 投稿日: 2013-01-18 15:09:17
ここで『囚人のジレンマ』という言葉について考えてみてほしい。
囚人のジレンマとは、
「お互いが譲り合わず、自分の利益だけを求めてしまうと、全体としてもっとも低い利益しか得られない」
という状況を表す『ゲーム理論』上の概念であるが、前述のとおり、議論はまさにこの『囚人のジレンマ(互いに相手を利用しようとして共倒れ状態)』に相当する。
囚人のジレンマを解消するひとつの方策は、
『今回はアナタが利益を得る番で、ワタシが協力する番ですよー』
と『役割』をあらかじめ決めておいて、その役割を順番に『交代』することである。
囚人のジレンマとは、
「お互いが譲り合わず、自分の利益だけを求めてしまうと、全体としてもっとも低い利益しか得られない」
という状況を表す『ゲーム理論』上の概念であるが、前述のとおり、議論はまさにこの『囚人のジレンマ(互いに相手を利用しようとして共倒れ状態)』に相当する。
囚人のジレンマを解消するひとつの方策は、
『今回はアナタが利益を得る番で、ワタシが協力する番ですよー』
と『役割』をあらかじめ決めておいて、その役割を順番に『交代』することである。
76 名前: 飲茶 投稿日: 2013-01-18 15:22:27
仮に今回は、『Aさんが利益を得る人(王)だ』と決めたとする。
この場合、Aさん以外の人たちは『騎士』となり、
『Aさんのために、Aさんが利するように』行動しなくてはならない。
たとえば、Aさんが次のような
『議論の種(議論したいという想い、欲望)』を持っていたとしよう
「太陽電池いっぱい作って、原発を無くせばいいじゃん♪って、子供の頃からずっと思ってたんだけど、このアイデアって、どこに問題があるんだろう?実現するにはどうすればいいんだろう?だれか、このアイデアに意見をくれないかなーー」
さて、このときAさんは『王(奉仕される側)』なのだから、その他の人たちは『騎士(奉仕する側)』として、『Aさんが論じたいこと』に付き合い、Aさんの『議論の種』が立派な大樹となるよう『協力』しなくてはならない。
けっして、
「そんな簡単なことで解決するなら、とっくの昔に解決してますよ。なぜそれが未だに実現していないのか、考えてみたらどうですか?」
とか
「それよりも、○○を作る方が良いですよ」
とか
「作るためのコストや場所はどうするんですか?実現性を考えずに語っても、それはただの妄想ですね」
などと言って、
Aさんの論じたいことから外れようとしたり、(Aさんの顔を潰すような形で)論破しようとしたりしてはならない。
この場合、Aさん以外の人たちは『騎士』となり、
『Aさんのために、Aさんが利するように』行動しなくてはならない。
たとえば、Aさんが次のような
『議論の種(議論したいという想い、欲望)』を持っていたとしよう
「太陽電池いっぱい作って、原発を無くせばいいじゃん♪って、子供の頃からずっと思ってたんだけど、このアイデアって、どこに問題があるんだろう?実現するにはどうすればいいんだろう?だれか、このアイデアに意見をくれないかなーー」
さて、このときAさんは『王(奉仕される側)』なのだから、その他の人たちは『騎士(奉仕する側)』として、『Aさんが論じたいこと』に付き合い、Aさんの『議論の種』が立派な大樹となるよう『協力』しなくてはならない。
けっして、
「そんな簡単なことで解決するなら、とっくの昔に解決してますよ。なぜそれが未だに実現していないのか、考えてみたらどうですか?」
とか
「それよりも、○○を作る方が良いですよ」
とか
「作るためのコストや場所はどうするんですか?実現性を考えずに語っても、それはただの妄想ですね」
などと言って、
Aさんの論じたいことから外れようとしたり、(Aさんの顔を潰すような形で)論破しようとしたりしてはならない。
77 名前: 飲茶 投稿日: 2013-01-18 15:24:59
なぜ、Aさん以外の人たち(騎士たち)は、Aさん(王)のために無償で知見を与えなくてはならないのか。
もちろん、それは、後日、『自分が大きな利益を得るため』である。
自分が『利益を得る人(王)』になる番がきたとき、協力してくれる人が少なかったら目も当てられない。
だから、自分の番ではないときは、精一杯、他者のために奉仕するのだ。
以上のように、
不特定多数の論者が『対等』の立場で『せーので』でガチンコで議論をするより、
「今回は、僕が『得』をする人です。僕は、これこれの議題について、できるだけ多くの『他者の知見』を集めて自分の見識をレベルアップしたいと欲望しています。みなさん、今回に限り、僕に『奉仕』してください」
と、みもふたもなく『役割(優位性)』をはっきりと明言して、議論をはじめた方が『全体の利益が向上する』と私は考えている。
もちろん、それは、後日、『自分が大きな利益を得るため』である。
自分が『利益を得る人(王)』になる番がきたとき、協力してくれる人が少なかったら目も当てられない。
だから、自分の番ではないときは、精一杯、他者のために奉仕するのだ。
以上のように、
不特定多数の論者が『対等』の立場で『せーので』でガチンコで議論をするより、
「今回は、僕が『得』をする人です。僕は、これこれの議題について、できるだけ多くの『他者の知見』を集めて自分の見識をレベルアップしたいと欲望しています。みなさん、今回に限り、僕に『奉仕』してください」
と、みもふたもなく『役割(優位性)』をはっきりと明言して、議論をはじめた方が『全体の利益が向上する』と私は考えている。
78 名前: 飲茶 投稿日: 2013-01-18 15:49:49
【まとめのまとめ】
従来の議論掲示板では、
(すなわち、ネットで知り合った不特定多数の人々が、『対等』に議論する場所では)
「Aさんの理屈はおかしい」
「Bさんこそ間違っている」
「いや、だから、私が言いたいのはそういうことではなく――」
と『解釈、理解、前提の違い』を
『個人間』でぶつけ合い、
『後日、本人たちですら読み返さない文章』を
延々と書き込み続けて
『有限の時間』を消費し続けてきた。
私は、この状況を改善するため、
以下のようにパラダイムを転換した議論掲示板を提案する。
・『対立』から『協力』へ
この議論で誰が『他者の知見を得る』という恩恵にあずかるのか、『役割』をはっきり決めてから始める。
・『論破』から『提案』へ
反論は、相手の不備を攻撃(指摘)するのではなく、あくまでも「こんなふうに言われそうです」という観点で提案し、反論者も一緒に「反論の反論」を考える。
・『書き捨て』から『議事録』へ
反論を「枝」として整理することで自動的に議事録(ツリー図)ができる仕組みとし、その「議事録の質」をもって議論が評価される。
従来の議論掲示板では、
(すなわち、ネットで知り合った不特定多数の人々が、『対等』に議論する場所では)
「Aさんの理屈はおかしい」
「Bさんこそ間違っている」
「いや、だから、私が言いたいのはそういうことではなく――」
と『解釈、理解、前提の違い』を
『個人間』でぶつけ合い、
『後日、本人たちですら読み返さない文章』を
延々と書き込み続けて
『有限の時間』を消費し続けてきた。
私は、この状況を改善するため、
以下のようにパラダイムを転換した議論掲示板を提案する。
・『対立』から『協力』へ
この議論で誰が『他者の知見を得る』という恩恵にあずかるのか、『役割』をはっきり決めてから始める。
・『論破』から『提案』へ
反論は、相手の不備を攻撃(指摘)するのではなく、あくまでも「こんなふうに言われそうです」という観点で提案し、反論者も一緒に「反論の反論」を考える。
・『書き捨て』から『議事録』へ
反論を「枝」として整理することで自動的に議事録(ツリー図)ができる仕組みとし、その「議事録の質」をもって議論が評価される。
79 名前: 飲茶 投稿日: 2013-01-18 16:15:51
【さいごに】
『日本人は議論が下手』だと言われている。
(ためしに「日本人 議論」でネット検索してみよう)
たしかに、面と向かって反論されるのが苦手で『反論=攻撃』という先入観をもっている我々日本人は、議論がどうしようもなく下手である。
しかし……だからこそ!
「議論が下手だ」と言われている我々だからこそ!
それを逆手にとって、『よりストレスの少ない楽しい議論のやり方』を考えられるはずではないだろうか!
不特定多数の人がそれぞれの視点を持ち寄って行う
『インターネット上における議論』。
ただでさえカオスな状況になりがちな、この議論に今こそ、我々が『お手本』というものを世界に指し示そうではないか!
私(飲茶)は、『論客コミュニティ』という議論掲示板を運営してきたが、その進化系として、ここで述べた議論掲示板も作ってみたい!
だが、世界に『議論の模範』を示す、この議論掲示板は、もはや『コミュニティ』という名ではその偉大さを表すことはできないだろう。
そう、この議論掲示板にふさわしい名は……

論客キングダム
「さぁ、世界よ……俺たちの美枝に酔いな」
(というわけで誰か作ってください。お金かかるならクラファンしましょう)
【完】
『日本人は議論が下手』だと言われている。
(ためしに「日本人 議論」でネット検索してみよう)
たしかに、面と向かって反論されるのが苦手で『反論=攻撃』という先入観をもっている我々日本人は、議論がどうしようもなく下手である。
しかし……だからこそ!
「議論が下手だ」と言われている我々だからこそ!
それを逆手にとって、『よりストレスの少ない楽しい議論のやり方』を考えられるはずではないだろうか!
不特定多数の人がそれぞれの視点を持ち寄って行う
『インターネット上における議論』。
ただでさえカオスな状況になりがちな、この議論に今こそ、我々が『お手本』というものを世界に指し示そうではないか!
私(飲茶)は、『論客コミュニティ』という議論掲示板を運営してきたが、その進化系として、ここで述べた議論掲示板も作ってみたい!
だが、世界に『議論の模範』を示す、この議論掲示板は、もはや『コミュニティ』という名ではその偉大さを表すことはできないだろう。
そう、この議論掲示板にふさわしい名は……

論客キングダム
「さぁ、世界よ……俺たちの美枝に酔いな」
(というわけで誰か作ってください。お金かかるならクラファンしましょう)
【完】
論客キングダム・・・・
いいですね。
そんなもんはなぁ、本の中でやれアホ
んで、史上最強の哲学入門マジでおもしろかったわw
とてもわかりやすかったマジで
共有地の悲劇を回避のためとわかり合点がいきました。
私も議論スペースは王の私有地とすべきだと思いました。
で、何処で?言ったモノ負けで開発しないとダメ?
実によく練られた方法だと感嘆しましたが、それ以上に絶望も伝わってきました。
素のままでは、まともに議論もできない我々の知性の低さへの、飲茶さんの深い絶望がです。
深く絶望したからこそ、それを克服するため、案を練りに練ったのでしょうね。
ところで、ご存じかもしれませんが、希望のあるお話があります。
世の中は広いもので、飲茶さんの理想とする議論をしている人達が存在するそうです。
厳密には議論ではなく会議なのですが、本質的には同等でしょう。
「ご冗談でしょう、ファインマンさん」という著書をご存じでしょうか?
ノーベル物理学賞を受賞したファインマン氏の自伝で、理系大学生の愛読書です。
そのなかで【下から見たロスアラモス】という章で
「本当に偉い人の会議とは、こういうものなのだろうな」
とファインマン氏が感嘆するシーンがあるのです。
それこそが、恐らく飲茶さんが理想としている議論に近いものであろうと思います。
もし興味がありましたら読んでみてください。
単純に、読み物としても面白いですよ。
https://anond.hatelabo.jp/archive
はてな匿名ダイアリーってのを割と最近知ったんですが(まあ、はてな匿名ダイアリーが出来たのが2006年なのでこの記事を書いた時点で飲茶さんは知ってそうなもんなんですが)
結構ここの掲示板は近いんじゃないかなあと思ったので
飲茶さんの案と違って、王(トピ主、元増田)に全然権限はないんですが、枝葉を延ばせるってのと、第三者からの評価システム(ブックマーク)はあります。
一応、他よりはましな議論してるように感じます。
でもやっぱり馬鹿も多いのですが。
飲茶さんの案だと王に求められる意識が高すぎるようにも感じますので(王が不在になると成り立たなかったりする)、ネットの限界はこの辺りなのかなあとも思ったり
人々の目的意識を論破する事から客観的に論じる事にシフトさせ、1つのトピックに反論を積み重ねていくという議論の効率的な形を採用し、人だからそうなって仕方ないって部分を全部上手くシステムに解決させてる
これを全部1つの機構にまとめ上げられるって頭良すぎない?
取捨選択をスレ主の感情で行うなら、それはスレ主に対するヨイショでしかありません。
飲茶さんの王国はヨイショの仕組みですね。
客観的妥当性で行うのが人間では不可能なので、議論を進めるためにスレ主に絶対的な権力を与えるのではないでしょうか。