主催(飲茶)が『これは面白い』と思った作品」
をご紹介していきたいと思います。
(審査員特別賞、飲茶賞、佳作だと思ってください)
■Sは集合(set)のS(黄黒真直)16枚
「脱いでくれないなら、こうだー!」
ラッセルが高々と掲げたそれは、
今しがた、スリのような手腕で剥ぎ取ったもの。
すなわち、アウグスティヌスのブラ。
「――っ。きゃーーーー!!!?」
・ラッセルといえば、ブラ。
女子のブラジャーを、剥ぎ取る女の子。
ということで、その基本設定を活かし、集合論について
軽快な文章で説明してくれました。
・個人的には、天沢透さんの本作品への感想。
「アウグスティヌスのブラ」
本企画がなければ地球上に
存在しなかったであろう文字列に萌えました。
というコメントがツボに入りました。
たしかに冷静に考えるとありえない(笑)
■ハッピーエンドはお約束 -A happiness comes through.-(黄黒真直)28枚
「私達はいつか死ぬ。では、いつ死ぬのか。
明日か、来年か、それはわからない。
でも一つわかることがある」
パスカルは指先で、ホワイトボードを軽く叩いた。
「私達が死ぬ確率が最も高いのは、今日だ」
・パスカルちゃん先生とライプニッツちゃんの問答。
パスカルちゃん先生の確率論を使った人生論が面白いです。
そして、そのまま終わるのかなあと思ったら、
ちゃんとオチが用意されていて、そこが秀逸でした。
・黄黒真直さんは多数作品を投稿されており、すべて高得点という
とてもアベレージの高い作家さんですね。
■サルトルノート(ルト)19枚
デモクリトスは死んだように笑っている。
「君も私も、肉の固まりに過ぎないよ。
正確にはもっと細かい、粒子の集まりでしかない」
「会話をする粒子か。ロマンチックだね」
・サルトルちゃんと哲学ガールズたちの会話記録で、
まるで悪い夢をみているような作品。
でも、ひとつひとつの会話が印象深くて、意味深で
僕は好きです。
■一休ちゃん〜これが私の生きる道〜(別府)19枚
「それなら、一度も遅刻をしたことのない者からケシの実を
もらってきなさい。そうすれば、わかりますよ」
「ケ、ケシの実ですね! わかりました!」
数日後、走留子は一休とともに、また生徒会長室を訪れた。
「おや、走留子ちゃん。
どうです、遅刻をしたことのない子は見つかりましたか?」
「ええ、遅刻をしたことのない子は、この学園に三人いました」
「えっ! 三人もいたの!」
・今企画で大人気の一休ちゃんが主役の作品。
個人的には、一休ちゃんに振り回される
ダメダメな釈迦ちゃんが可愛かったです。
ケシの実の方便がうまくいかなかったときの
釈迦ちゃんのごまかし方が妙に好きでした。
■ダンシング☆アブダクション(丸屋ツグヤ)19枚
そして、ゴウンゴウンという機械音と共に、
ステージ中央からせり上がってきたのは――。
ヘンタイである。
服装があまりにヘンタイである。
銀色がベースになっている、体に密着した、
いかにも未来人風の服を着た変態少女が仁王立ちで現れた。
そしてその少女はさっきから流れている件のイントロに合わせ
振付を踊り、あのタイミングに合わせて叫んだ。
「UFO!」
とても美しい美少女のUFO少女パースちゃんが、
懇切丁寧にアブダクションを説明しくれる作品デス
アブダクション ハ サイコー デス サイコー デス
サイコー デス サイコー デス
■ソーカルちゃんのお正月(丸屋ツグヤ)20枚
・ソーカルちゃんとショーペンハウアーちゃんと一休ちゃんの
正月のお話。およそ誰も想像しなかったであろう奇妙な組み合わせの
この3人のグダグダな雰囲気が良い。
あと、このソーカルちゃんは、芯が通っていて好感が持てました。
■赤の信で号(てんぺす)51枚
「しかしだ、しかしプラトン。
何故……赤信号だと渡ってはいけないのだろう?」
・「赤信号はなぜ渡ってはいけないのか?」という疑問を
晴らすために始まったソクラテスちゃんとプラトンちゃんの問答。
その問答は、登校中の哲学ガールズたちを巻き込み、
次々とリタイヤさせていくッ!
軽快なノリの会話が面白かったです。
特に、「国土交通省」という回答で噴き出しました。
■真夜中のソフィスト(なかた)46枚
・プロタゴラスちゃんが主役の作品。
この作品は、状況設定が熱いです!
物語は、プラトンちゃんとアリストテレスちゃんが
プロタゴラスちゃんに「説得の依頼」を
しにいくところからはじまります。
ソクラテス派の彼女たちが、なぜライバルのプロタゴラスちゃんに
そんな依頼をするのか。
それは、無実の罪で捕まったソクラテスのため。
「つまりソクラテスちゃんを弁護すればいいのかしら?」
いいや、そうではない。プラトンたちが
プロタゴラスちゃんに依頼した内容とは、
「無実の罪を受け入れ、牢屋から出ようとしない
ソクラテスちゃんを説得してほしい」
ということであった。
はたして、プロタゴラスちゃんは
宿命のライバルであるソクラテスちゃんを説得して、
見事牢屋から出すことができるのか!?
という感じで、シチュエーションが
とても秀逸な作品でした。
■マキャベリちゃんの野望と少年マンガ的友情(谷津矢車)42枚
・マキャベリちゃん、孫子ちゃん、韓非子ちゃん
という最凶の哲学女子のドリームチームが、
生徒会を転覆させるというお話。
テンポがよく、各キャラクターもよく立っていて面白かったです。
ただし、特に「あっ」というような展開もなく、すぐに終わって
物足りない印象があるので、
長編にしてもっと話を広げても良かったかなあと思いました。
以上になります。
面白かったから、みなさんもぜひ読んでみてください。
次回は、「イラストの選考について」です。
(続く)
↓哲学ガールズ企画!