2012年03月22日

哲学ガールズ大賞 選考結果発表(3)〜審査員特別賞〜

続いては、「残念ながら受賞できなかったけど、
主催(飲茶)が『これは面白い』と思った作品」
をご紹介していきたいと思います。
(審査員特別賞、飲茶賞、佳作だと思ってください)

Sは集合(set)のS(黄黒真直)16枚

「脱いでくれないなら、こうだー!」

 ラッセルが高々と掲げたそれは、
 今しがた、スリのような手腕で剥ぎ取ったもの。
 すなわち、アウグスティヌスのブラ。

「――っ。きゃーーーー!!!?」


・ラッセルといえば、ブラ。
女子のブラジャーを、剥ぎ取る女の子。
ということで、その基本設定を活かし、集合論について
軽快な文章で説明してくれました。

・個人的には、天沢透さんの本作品への感想。

「アウグスティヌスのブラ」
本企画がなければ地球上に
存在しなかったであろう文字列に萌えました。


というコメントがツボに入りました。
たしかに冷静に考えるとありえない(笑)

ハッピーエンドはお約束 -A happiness comes through.-(黄黒真直)28枚

「私達はいつか死ぬ。では、いつ死ぬのか。
 明日か、来年か、それはわからない。
 でも一つわかることがある」

 パスカルは指先で、ホワイトボードを軽く叩いた。

「私達が死ぬ確率が最も高いのは、今日だ」


・パスカルちゃん先生とライプニッツちゃんの問答。
パスカルちゃん先生の確率論を使った人生論が面白いです。
そして、そのまま終わるのかなあと思ったら、
ちゃんとオチが用意されていて、そこが秀逸でした。

・黄黒真直さんは多数作品を投稿されており、すべて高得点という
とてもアベレージの高い作家さんですね。

サルトルノート(ルト)19枚

デモクリトスは死んだように笑っている。

「君も私も、肉の固まりに過ぎないよ。
 正確にはもっと細かい、粒子の集まりでしかない」

「会話をする粒子か。ロマンチックだね」


・サルトルちゃんと哲学ガールズたちの会話記録で、
まるで悪い夢をみているような作品。
でも、ひとつひとつの会話が印象深くて、意味深で
僕は好きです。

一休ちゃん〜これが私の生きる道〜(別府)19枚

「それなら、一度も遅刻をしたことのない者からケシの実を
 もらってきなさい。そうすれば、わかりますよ」

「ケ、ケシの実ですね! わかりました!」

 数日後、走留子は一休とともに、また生徒会長室を訪れた。

「おや、走留子ちゃん。
 どうです、遅刻をしたことのない子は見つかりましたか?」

「ええ、遅刻をしたことのない子は、この学園に三人いました」

「えっ! 三人もいたの!」


・今企画で大人気の一休ちゃんが主役の作品。
個人的には、一休ちゃんに振り回される
ダメダメな釈迦ちゃんが可愛かったです。
ケシの実の方便がうまくいかなかったときの
釈迦ちゃんのごまかし方が妙に好きでした。

ダンシング☆アブダクション(丸屋ツグヤ)19枚

 そして、ゴウンゴウンという機械音と共に、
 ステージ中央からせり上がってきたのは――。
 ヘンタイである。
 服装があまりにヘンタイである。
 銀色がベースになっている、体に密着した、
 いかにも未来人風の服を着た変態少女が仁王立ちで現れた。
 そしてその少女はさっきから流れている件のイントロに合わせ
 振付を踊り、あのタイミングに合わせて叫んだ。

「UFO!」


とても美しい美少女のUFO少女パースちゃんが、
懇切丁寧にアブダクションを説明しくれる作品デス
アブダクション ハ サイコー デス サイコー デス
サイコー デス サイコー デス

ソーカルちゃんのお正月(丸屋ツグヤ)20枚

・ソーカルちゃんとショーペンハウアーちゃんと一休ちゃんの
正月のお話。およそ誰も想像しなかったであろう奇妙な組み合わせの
この3人のグダグダな雰囲気が良い。
あと、このソーカルちゃんは、芯が通っていて好感が持てました。

赤の信で号(てんぺす)51枚

「しかしだ、しかしプラトン。
 何故……赤信号だと渡ってはいけないのだろう?」


・「赤信号はなぜ渡ってはいけないのか?」という疑問を
晴らすために始まったソクラテスちゃんとプラトンちゃんの問答。
その問答は、登校中の哲学ガールズたちを巻き込み、
次々とリタイヤさせていくッ!
軽快なノリの会話が面白かったです。
特に、「国土交通省」という回答で噴き出しました。

真夜中のソフィスト(なかた)46枚

・プロタゴラスちゃんが主役の作品。
この作品は、状況設定が熱いです!

物語は、プラトンちゃんとアリストテレスちゃんが
プロタゴラスちゃんに「説得の依頼」を
しにいくところからはじまります。
ソクラテス派の彼女たちが、なぜライバルのプロタゴラスちゃんに
そんな依頼をするのか。
それは、無実の罪で捕まったソクラテスのため。

「つまりソクラテスちゃんを弁護すればいいのかしら?」

いいや、そうではない。プラトンたちが
プロタゴラスちゃんに依頼した内容とは、
「無実の罪を受け入れ、牢屋から出ようとしない
 ソクラテスちゃんを説得してほしい」
ということであった。

はたして、プロタゴラスちゃんは
宿命のライバルであるソクラテスちゃんを説得して、
見事牢屋から出すことができるのか!?

という感じで、シチュエーションが
とても秀逸な作品でした。

マキャベリちゃんの野望と少年マンガ的友情(谷津矢車)42枚

・マキャベリちゃん、孫子ちゃん、韓非子ちゃん
という最凶の哲学女子のドリームチームが、
生徒会を転覆させるというお話。
テンポがよく、各キャラクターもよく立っていて面白かったです。
ただし、特に「あっ」というような展開もなく、すぐに終わって
物足りない印象があるので、
長編にしてもっと話を広げても良かったかなあと思いました。

以上になります。
面白かったから、みなさんもぜひ読んでみてください。

次回は、「イラストの選考について」です。

(続く)

↓哲学ガールズ企画!

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