前回、「編集や解釈をしないで置いとくだけの
マスメディア(マスペディア)」があったらどうか
と考えたわけですが、この話には続きがあって
そのマスペディアにさらにこんな意義を持たせらどうでしょう?
「マスコミをマスコミするためのマスペディア」
ようは、「警視庁24時!」ならぬ、
「マスコミ24時!」です。
まぁ、24時間は言いすぎですが(笑)、
とにかくマスコミの報道現場を報道する、という話です。
昔、テレビでこんな酷い記者会見を見たことがあります。
マスコミの人たちが、会見している人にとてつもない罵声を浴びせ、
その人が泣き出すとカメラが狙いすましたかように
パシャパシャパシャ、みたいな。
それはほんの一瞬の映像でしたし、
他局のニュースでは泣いて謝罪するシーンだけが
切り取られて流されていたので、
その前後になにがあったのかはわかりません。
でもたぶん、その一瞬だけではなく、
人として見ていられないような惨状、精神的リンチが
延々と続けられていたんでしょうね。
でも、まぁ、しかたがないとは思います。
マスコミの人たちだって商売なんだし。
たとえば不幸な事件が起きて、
被害者や関係者の話をマスコミが報道したいとき。
現場の記者は、日中ずっと張り込んでて、被害者が出てきたら、
すかさず駆け寄って、「どんなお気持ちですか?」
と容赦なくききまくるわけですが、
おそらくやってるのは、下請けの人たちですよね。
大手のエリートが、 わざわざ現場に張りついたりとかしないでしょうし。
そうすると、彼ら(下請け)は生活がかかってるんだから、
なんとしてでも使えるインパクトのある映像を
撮ってこないといけない。
だからもう、被害者が無視して答えてくれなかったときには、
胸に突き刺さるような酷い言葉をぶつけて、
怒らせたり泣かせたりしてでも、コメントを引き出そうとする。
毎回、手ぶらで帰ってばかりだと契約打ち切りになって、
家族が路頭に迷うから、本当はやりたくなくても、
ついついそういうルール違反をやってしまう。
そこで、です。
そういう報道現場をカメラで延々と記録するのです。
たとえば、記者会見も、会見側から記者の方を撮影する。
そして、どの記者がどんな顔でどんな質問をしたか、
ノーカットで報道する。
すると、「質問する記者の言動を含めての報道」ですから、
下らない質問はそうそうできないでしょう。
だって会社の恥になるから。
また誰かの発言中に見苦しい野次も飛ばせません。
だって自分や家族(親や子供)の恥になるから。
だから、もうやりたいと思ってもできない。
そういうシステムがあれば、大手のエリートも、
下請けさんに「ルール違反や野次や酷い接し方はやめて下さいね、
ネットで大騒ぎになって会社にクレームがくるから」
と言わざるを得ないでしょう。
そして、報道が報道される以上、
報道する側のモラル、態度、知的レベルが
ぜんぶ明るみにでてしまいます。
そのため、バカな質問をしたら、
「はぁ?なに聞いてんだよ、抽象的すぎるし、
その質問、意味ねえだろ。え?●●新聞社?
さいてーだな、ここ」とかなるし、
逆に良い質問をしたら、
「おお、きちんと事件の核心をうまく聞いてるな!
そこが知りたかったところなんだよ!
△△新聞かー、みなおした!
●●新聞やめてこっちにしよう」とかなるでしょう。
だから、報道する側も頑張らないといけない。
大手マスコミ会社の経営者も、自分のところの社員が、
他社に負けないような質問力や報道モラルが身につけられるよう
下請け含めて、社員教育に力を入れる必要がでてきます。
その結果として、報道する側の質もあがっていけば万々歳。
そして、いちばん大事なことは。
マスコミをマスコミする側は、仁義として絶対に編集しない、ということ。
文脈を無視して一部分だけを切り出して、
現場の記者さんを面白おかしく晒し者にするような
真似だけは絶対にしない。
ただ報道の現場を最初から最後まで
延々と記録してネットに置くだけ。
その記録の評価や解釈は、不特定多数の人々に任せる。
もちろん、不特定多数の誰かが
面白おかしく編集する可能性もありますが、
元ネタがある以上、文脈無視の悪意に満ちた酷い編集なら、
逆に炎上して信用を失うでしょう。そしてそれは、プロのマスコミも同じ。
元ネタがあれば、編集の『悪意』は、すぐに見破られてしまう(というリスクが増える)
とまぁ、そんな感じです。
世の中は甘くないから、いま述べたような感じで
うまく行くとは限らないでしょうね(笑)
でも、マスコミの人たちに、
「あなたも報道されてるんですよ」という意識と緊張感を
持たせるだけでも、報道モラル低下の
良い抑止力になるんじゃないかなあと。
そんなことを試しに考えてみました。
(続く)
実際、あることで取材をうけましたが、ちょっと調べればわかるようなことが質問され、取材現場固有の情報については質問されませんでした。
やはり、なにか緊張感がないと質の向上はないのかもしれませんね。
(飲茶)逆に取材受ける側は、下手なことを言うと、それがサブタイトルになりますからね(笑)
たとえば匿名でのインタビューや顔のモザイク、現場を特定しないなど取材した後で”あえて”行っている事も、「編集や解釈をしない」報道姿勢を貫く以上は、機械のように淡々粛々と暴かなければなりません。
報道される側を排除して、あくまで報道する側だけを報道するよ、ということでしょうか?
(飲茶)ええ、「編集しない」「解釈しない」って話から、「じゃあ、こういう場合でも編集しないのか?」などの疑問や議論が発展していきますよね。
自分はただの思いつきで言ってることなので、すべてのケースについて結論を持ってはいないです。
とりあえず、「報道現場をうつしていたら、うっかりマスコミがふせていた情報が出てしまった(容疑者の名前や身元や顔や住所など)」というケースがありますよね。もしそういうことが起きたときに誰が責任を取るのか。マスコミのマスコミが、「名無しの報道者」として新たな権力者となり、責任なく情報を流すことに対する弊害。色々問題点は考えられますよね。
なので、もし実現するとしたら、ちゃんと議論して「ルール」や「モラル」を定義してやっていくべきだろうと思っています。
ただ、まぁ、自分としては、「記者会見」「政治家への質問」といった公式な場での「質問者含めた編集なし報道」が、まずは実現可能で、問題点の起こりにくい無難なところだと思っています。