こうして僕は意を決して扉をくぐり、
ついにバキの作者「板垣恵介先生」と対面したわけですが……。
ありのまま起こった事を書き綴ろうと思います。
■板垣恵介先生の見た目
もう53歳にもなるというのに、勇次郎みたいな黒いラフな
シャツがよく似合う、漫画家とは思えないみずみずしい筋肉に
包まれたナイスガイでした。
そしてやっぱり「オーラ」がすごかったです。
■まずは一緒に格闘技を観戦
お邪魔させたいただいたとき、ちょうど板垣先生は
テレビで格闘技の試合を観ているところでした。
それで「せっかくだから一緒に観よう」ということになり、
板垣先生と試合を観戦。これがもうかなり面白い試合で、
和気あいあいとした雰囲気で楽しく観ることができました。
おかげさまでだいぶ緊張をほぐすことができて良かったです。
■本題に入らず、格闘技の話
格闘技の観戦も終わり、さっそく打合せに。
しかし、観ていた試合が面白かったせいか、
いっこうに本題に入らず、延々と格闘技話に
花を咲かせてしまいました。
■やっと本題
「哲学者を知の格闘家、
哲学史を真理(最強の論)を求める戦いの歴史
と見立てた哲学入門が書きたい、
そして板垣先生が描いた哲学者をみてみたい」
という想いをまずはぶつけてみました。
すると板垣先生から「そもそも哲学にとって、真理とはどういうものなのか?
やっぱりひとつしかないのか、それとも複数あるのか?」
ということが聞かれたので、おそらく板垣先生の性に合うだろうと思い、
ヘーゲルの弁証法を紹介してみました。
「どんな真理を提示しようと必ず相反する真理が提示され、
それらが対立することによってさらなる優れた真理が発見される」
つまり「闘争を繰り返すことによって真理は高みへと登っていくのだ」
というお話。
その話のチョイスは良かったらしく、板垣先生はとても興味深そうに聞いてくれました。
が、次の板垣先生の言葉に面をくらいました。
「『対立によって真理が成長していく』という話が正しいなら、
その話自身についても『対立する別の考え』が出てこないといけないはず。
そのへんはどうなのか」と。
落ち着いていれば『史上最強の哲学入門』に書いたように、
キルケゴールの話でもしたのですが、当日は超てんぱってまして、
なんかもう全然回答になってないグダグダ話をしてしまいました(汗)
さて「弁証法自身に弁証法は適用されないのか?」という命題。
哲学に明るい人で、こうして冷静にブログ上で文字として読むなら、
それほど驚くものではないかもしれませんが、
しかし、何の予備知識もなく、いきなり専門外の知識を口頭できいて
こういった根本的な問いがすぐに出てきたわけで僕はとても驚きました。
やはり板垣先生は非凡な才能の持ち主(天才)で、
こういう視点や発想が次々と出てくるからこそ、
バキのような凄まじい展開の作品が書けるのだなあと実感した瞬間でした。
■結論はどうするの?
また板垣先生にこんなことを聞かれました。
「それで最終的な本の結論として、何を真理とするのか?」
それに対し、飲茶のグダグダ返答。
「今回のはただの入門書ですし、
過去の哲学者たちがどうやって真理を追い求めてきたかを
ただ紹介するだけですし、それにあの
僕なんかが『これが真理だ』なんて言ったところで、
誰も認めないですし、反論とかもその……」
それに対し、板垣先生の返答。
「何を主張したって必ず反論する人はでてくるんだから
気にする必要はない。あとで反論が出てくるかもしれないが、
少なくとも、何年何月何日何時何分何秒、現時点において、
『これが真理だ』っていうのを自分で決めてしまえばいい!」
熱い、熱すぎる。自分はただ分かりやすく哲学を紹介する本
(ある意味無難に点数が取れるもの)を書くことしか頭になかったのに。
板垣先生は、せっかく書くのなら、
「現時点の自分が現時点で最高だと思うものを何者をも恐れず書こう」
という情熱的なメッセージをぶつけてきたのです。
僕は、板垣先生のその言葉に、ガツンと頭を叩かれるような
衝撃を受けたわけですが……、
結局、その熱い言葉に応えられる自信はなかったので、
たしかその場の打ち合わせのときは、「やっぱり難しいですよー」と
ネガティブな返答をしつつお茶を濁したと思います。
しかし、実際に執筆する段になって、どうしても板垣先生のあの言葉が胸に
深く残っており、史上最強の哲学入門の各章のラストは
「自分なりの考え(伝えたいこと)」を書くという形式になりました。
(板垣先生の熱い言葉に少しでも応えられていたら嬉しいです)
■板垣先生が仕事を請けてくれそうな展開に!
さてさて、ここまでの打ち合わせ、話は結構弾んだと思うのですが、
板垣先生はまだまだ様子見で、
「仕事を請けようかどうか」を慎重に考えているという感じでした。
しかし、次の瞬間でした。
板垣先生の目の色が変わるような出来事が
起きたのです!
(続く)
(飲茶)びっくりですよね。そしてだからこそ、途中から変な汗を書きましたw
それにしても板垣先生の鋭さには感銘を受けました。
(飲茶)次回は、、、、どうしよう・・・・。