まず、マガジンマガジン社さんから「哲学入門書」の執筆依頼がありました。
前著「哲学的な何か、あと科学とか」「哲学的な何か、あと数学とか」を
読んだ担当さんが飲茶を気にいってくれたそうです。
しかし、前書きにも書いたように執筆にあたってはかなり悩みました。
だって、もうすでに哲学入門書なんて世の中に星の数ほどあるじゃないですか!
特に、綺麗なイラスト満載で、時代順に有名哲学者を
ひとりずつ紹介していくタイプの「カタログ型哲学入門」なんかは
洗練されたものがたくさん出版されています。(図解雑学シリーズとか)
はっきりいって出尽くしていると言っても過言ではないでしょう。
今更、それらと同じものを作ってもしょうがない。
だから、「これ!」というインパクトや個性のある「何か」を持ってこないと。
これが執筆する上での最大の課題であり、
担当さんとずっと悩んでいたわけですが……そのとき突如、
天啓のごとき画期的なアイデアがひらめいたのです!
「バキの入場シーン」を哲学者バージョンでやって
それを冒頭に持ってきたらどうだろうか!
それはたしかにすごいインパクト!
「神殺しは生きていた!
更なる研鑽を積み人間狂気が蘇った!
超人!! ニーチェだァー!!」
「それだあああああああああああ!」
という感じで、担当さんとさんざん盛り上がったのですが、
でもよくよく冷静になって考えてみると……
哲学の本で何の関係もなしに、突然、
バキのパロディじゃわけがわからないじゃないですか!
せめて、表紙のイラストを板垣先生に描いてもらうとかじゃないと。
さすがにそれは無理だろうということで、
この話しは終わったのでした。
そう、このときはまだ「板垣先生を表紙にする」というのは
あくまでも冗談話であり、現実味のある話ではなかったのです。
それがまさかあんな……。
(続く)