■一冊目。「哲学的な何か、あと科学とか」
本の表紙は、目立つものにしなければならない!
インパクトのある表紙じゃないと手にとってもらえない!
そういう強迫観念がありました。
だからもう、
「うわ、なんだ、これは!なんでこんな本が哲学コーナーにあるんだ!」
という感じのメチャクチャな表紙にしよう、そう考えてました。
そんな僕が担当さんにお願いした表紙のイメージは、
「2ちゃんねるのAA(アスキーアート)が、ブーン、とか手を広げながら、
いっぱい走り回ってて、あと、真ん中にどこかでみたネコが、
どこでもドアからこちらをのぞいてる、とか、そんな感じ!」
ブーン /⌒ヽ
⊂二二二( ^ω^)二⊃
| /
( ヽノ
ノ>ノ
三 レレ
いや、もうかなりテンパってました……。
で、その後、担当さんと話しあった結果、
「インパクト優先であんまりな表紙にすると、イロモノ系の本として
軽く見られてしまう。そういう本は、最初はいいが、息が短く、
書店から消えやすい」という結論にいたり、今のデザインになりました。
そもそも、ある本が書店に置かれるかどうかは、
基本的には本屋さん側の趣向で決まります。
本屋の店長さんが置きたくない、と思ったら、二度と注文はこないわけです。
最初、僕は「本は目立ってなんぼ」という「買う側」へのアピールしか
考えてなかったわけですが、実はよく考えたら、
「売る側」へのアピールという視点もあったのですね。
売る側にまで「なんだこれは!」と思われてしまったら、
買う側以前の問題でどうしようもありません。
出版社さんが、なんとか本を置いてもらおうと営業をかけて
「これは良い哲学本ですよ」と本を片手に熱心に説明しても、
その表紙で2ちゃんねるのAAがブーンと飛び回っていたら……、
もう、なんというかダメダメなのです。
結局、学問系の棚は回転が早いジャンルではないので、
イチカバチかの勝負をしないで内容勝負で長くじっくり売っていこう、
という戦略に方針を転換し、落ち着いたデザインの表紙にしたわけですが、
あれから3年、いまだに書店に置かれて増刷されているわけですから、
やはり良かったのだと思います。
逆に、もし、あの意見が採用されていたら、
どうなっていたのでしょうね。ブーン。
本の表紙を決めるのにも、こんな戦いがあったのだ、というお話でした。
続く。
すごくためになりました。
いえ、サイトの方を読んでいたから、黒ベースだと思い込んでいたのです。
でも、そんな流れがあったんですね。
その気持ち、よくわかります。自分も最初、そう感じてました(笑)