2012年03月16日

哲学ガールズ大賞前夜祭

■哲学ガールズ小説の感想期間終了
哲学ガールズ小説の感想期間が終了しました。
多数の小説のご応募ならび感想のご投稿
ありがとうございました!

哲学ガールズ小説大賞の発表は、
2012年3月20日、本ブログにて行います!

■書籍「哲学ガールズ」の発売開始!
哲学ガールズ大賞の発表に先立ちまして、
本日3月16日に無事、哲学ガールズを
出版することができました!

■哲学ガールズイラスト大賞について
哲学ガールズイラスト大賞についてですが、
イラスト大賞は、書籍「哲学ガールズ」で採用された
イラストがそれに該当します。
どのイラストが大賞となったかは、
書籍「哲学ガールズ」にてご確認ください!(^△^)



予想どおりのイラストが採用されたのか、
それとも違うイラストが採用されたのか、
その差を楽しむのも面白いと思います!

■ソーカルちゃんについて
すみません、ソーカルちゃんについては
出版側の諸々の事情でイラストを載せることはできませんでした。
募集しておきながら、大変申し訳ありませんでした。
(茂木ちゃん先生は大丈夫でした)

■哲学ガールズイラストの最終選考イラストの発表
哲学ガールズイラスト募集企画は、おかげさまで、
(画像サイズオーバーで削除されたイラストを含めて)
2000点を超える多数の応募がありました。
このなかから、それぞれの哲学ガールズのイラスト大賞が
決定され、そのイラストが書籍に掲載されるわけですが
残念ながら、大賞に選ばれなかったが
 たいへん優秀なイラスト

もたくさんありました。

そこで前々から、編集さんに、
最終選考に残った優秀な作品を
 小さくても良いので、どこか表紙カバーの裏とかに
 載せられないでしょうか

と言っていたのですが、どうやら気を利かせて、
それをやってくれていたようです!!

ということで、最終選考に残った優秀なイラスト
(プロの編集さんの目からみて、
 書籍掲載しようか迷ったイラスト)
は、表紙カバーの裏に載っていますので、
採用通知がこなかった絵師さんも
ご確認いただければと思います!

↓哲学ガールズ企画!

2012年03月20日

哲学ガールズ大賞 選考結果発表(1)

哲学的な彼女(哲学女子小説)企画の選考結果を
以下に発表します。

応募数:88作品
募集期間:2011年10月1日〜2012年1月15日
枚数規定:原稿用紙1枚〜350枚

■哲学ガールズ大賞
科学的な僕と哲学的な彼女たち(橙。)291枚

■短編部門 最優秀賞
恋と鉄拳とおにぎりと(牛髑髏タウン)95枚

■掌編賞 最優秀賞
神のシナリオ(汁茶)9枚

■ニーチェ特別賞
哲学少女は月に哭く(やみくろ)186枚

■ユング特別賞
天上天下ユングと人類滅亡の日(エキセントリクウ)234枚

■優秀作品賞
てつまん 〜哲学ガールズ麻雀大会〜(牛髑髏タウン)215枚
完全Q体フィロソフィア(エミムラ)296枚
アタラクシアを追い求めて(金椎響)246枚
テストに出る! 哲学者の覚え方。 〜古代組編〜(皆本暁)188枚

すばらしい作品をありがとうございました!

各作品についての「主催からのコメント」は、
次回の更新にて記載していきたいと思います。

(続く)

2012年03月21日

哲学ガールズ大賞 選考結果発表(2)〜受賞作品講評〜

受賞作品について、主催(飲茶)から独断と偏見で講評を
述べていきたいと思います。あまり畏まらないで、
忌憚なく思ったことをバンバン書いていきますッ!

なお、ネタバレはなるべく避けているつもりですが、
この講評を読んだ人が「あ、これ面白そう、読んでみようかな
と思わせる程度に、多少のネタバレをしている場合があります。
気になる方はご注意を。

あと、選考結果がもう出たので、感想の投稿を開放します!
読んだ方は「感想」を言うなり、「おめでとう」を言うなり、
ご自由にお使いください!

■哲学ガールズ大賞
科学的な僕と哲学的な彼女たち(橙。)291枚

ようやく、自分の頭で考えたようだね。
 おまえは色んなことをよく勉強してるし、物事を噛み砕いて
 まあまあ分かりやすく説明できるだけの柔軟な頭も持ってる。
 でもな、解っただろう?
 それだけじゃ、ここじゃ通用しないぜ


・今回の企画は、ハイレベルな作品が本当に多かったのですが
「総合点」でみると、間違いなくこの作品が一番だと思います!

・文章が読みやすく洗練されていて、単なる日常シーンでも
楽しく読むことができました。
何の事件も発生しておらず、クライマックスシーンでもないのに、
楽しく読める文章が書けるというのは、実にすごい才能だと思います。
なぜだろうと分析してみたら、たぶん主人公の心理描写を丁寧に
書いているからなんでしょうね。ようするに

「状況発生→主人公はこんなふうに思った
 →主人公がアクション(会話)を起こす
 →しかし想像を超える反応(相手の返答)がくる
 →え?だったら!と主人公がさらに思う。
 →しかし、また想像を超える反応が……」

という感じで、心理描写とともに「状況が上昇していくイメージ」。
だから、単なる日常シーンでも引き込まれて(次の文章が読みたくなって)、
結果、「面白い」と感じる。
これが下手な書き手さんだと、
「『状況を詳しく説明するための描写』に文字数をついやし、
あとは、とにかく『ウィットにとんだ面白会話』で
そのシーンを盛り上げることに終始する」
という発想の書き方になって、
結果、微妙な文章になってしまうのでしょうね。
というわけで、文章の書き方についてとても勉強になりました。

・テーマ(哲学的な彼女のたちとの交流によって、
科学的な僕が成長していく
)がしっかりしていてよかったです。
そのテーマがあったからこそ、主人公のキャラがうまく立っていました。

・ソクラテスがかわいい。
教えてくださいっ!(バンッ!)
やばいメチャクチャかわいい。
前回作品の「哲学的な彼氏企画」でも
教えてくださいとなついてくる年下の少女」が
ヒロインだったわけですが……きっと著者は好きなんでしょうね!
心の底からそういう娘がっ!
いやー、はっきり言って僕の設定よりも
何倍もかわいくソクラテスが描写されており、
読みながら、「あーもうソクラテスと付き合えばいいのに!」と
何度も思わされました。

・一休ちゃんがかわいい。
今企画では、なぜか一休ちゃんが大人気キャラで
たくさんの一休キャラがでてきましたが、
この作品の一休ちゃんが「インパクトと萌え」で一番でした。

・不完全性定理をもって科学の確実性を否定するような記述がありましたが、
これは歴史ある議論で、不完全性定理をそういうふうに引用されるのが
嫌いな人がたくさんいる『昔からの炎上ポイント』でもあるので、
使わない方が無難だと思います。
やるなら、ラッセルちゃんに自己言及のパラドックスネタを語ってもらうか、
ヒュームちゃんにお願いした方が良いかもです。

・個人的にはもっとあざといエピソードを追加して、僕の感情が
「ソクラちゃん < ○○○ちゃん」
にひっくり返るような展開をしてくれたらうれしかったです(笑)

・テーマがしっかりしていたから、エピローグも晴れやかでした。
そして、まだまだ読みたい、ソクラテスちゃんに会いたい、
と思わされました。
キャラが出来上がっているので、二巻以降も書けそうですよね。
次は、科学哲学編でどうでしょう(笑)。
ウィトゲンシュタインちゃんが、ウィーン少女実証団を率いて
哲学女子を襲っているという悪い噂が学園に流れる!
彼女の濡れ衣を晴らすため、主人公とソクラテスちゃんが真相究明に乗り出す!
そこで知り合う新たなる哲学ガールズ(ポパー、クーン)……
そして明かされる意外な真相とはッ!
という感じで、「科学哲学ネタ」を絡めつつ、
「前期ウィトゲンシュタインから後期ウィトゲンシュタインの思想転換」
を題材に書けたら、面白い作品になりそう。
突然、キスして「この論理形式ってなんだと思う?」とか、もうッ!
(スラッファがウィトゲンシュタインに、指でアゴをこする仕草をしてみせて、
「これは何の論理形式なのかね」と問うたエピソード参照)

・結論として、「読ませる文章」「哲学ガール萌え」
「芯の通ったテーマ」で一番しっかりまとまった作品であったので、
あまり迷わず、大賞を選出することができました。
すばらしい作品をありがとうございました!

■短編部門 最優秀賞
恋と鉄拳とおにぎりと(牛髑髏タウン)95枚

あたしはさ。知らないままでいる方がいいことも、
 あると思うのかって聞いてるの


・短編部門も良作ぞろいでしたが、この作品は頭ひとつどころか
完全に高みを突き抜けていました。

・「あだ名」についてのソクラテスちゃんとアリストテレスちゃんの会話が秀逸。
そもそも、ソクラテスちゃんって、「○○って何よ!?」と
無理やり相手を問い詰めて、時には暴力まで振るってしまう……
という○○○○なキャラ設定なので、
正直、「こんなキャラどう魅力的に表現するんだよwww無理www」
と無責任に思っていたわけですが、
見事に魅力的に表現されており、完全に脱帽でした。

・エピクロスちゃんがマジかわいい。
特に、ラストのソクラテスちゃんとの問答でぐっときました。
(アダムちゃんは何のために出てきたんだろうと思ったら、
そういうことでしたか(笑))

■掌編賞 最優秀賞
神のシナリオ(汁茶)9枚

どこにそんな根拠があるのよ。いつもいつもあなたは
 不幸な目にあってばかり。それでもなお神の予定調和を
 信じ続けるあなたの考えはまったく理解できません。
 あなたどこか狂ってるんじゃないの?


・こんな短い枚数なのに、たくさん哲学ガールズが出てきて、
しかも面白いです。あのオチは大好きです。
ちなみに、僕としては、すべては「神のシナリオ」どおりなのではなく、
「ライプニッツちゃんが大好き、もっとそばにいたい」
というスピノザちゃんの願望どおりなのだと読み解きました!

■ニーチェ特別賞
哲学少女は月に哭く(やみくろ)186枚

「そうだ。お前達のいう『正しさ』は、
 弱者が強者に向けるただの『妬み』に過ぎない。
『自分らの方が正しい』から相手を排除するんじゃない。
『相手が自分より強い』から、群れる事で正当性を主張し、
 排除しようとしているだけだ。
 それこそが皆にとっての『正義』であると偽ってな」

 ――神殺武装ツァラトゥストラ。
 それが、彼女が『賢者の石』によって構築した武装の名前であった。
 その槍の穂先に、文字が刻印されているのが見て取れた。
 『Wille zur Macht.』――力への意志。

「さあ、始めようか。かかってこい。お前の哲学を、砕いてやる」


・前回、ライトノベル賞を受賞しただけあって、さすがの出来栄え。
いや、ていうか、これもう少しエピソードを追加するとかして仕上げれば、
そのまま出版できそうな気がします。
クールでツンデレで中二病のニーチェちゃんに、
ラノベ的異能バトルの熱い展開、
かなり良くできたエンタメ作品だと思います。
編集さんにも一度読んでもらいたかったので、
急遽、本賞を設立しました。

・個人的には、バタイユちゃんをもっともっともーっと変態で、
強烈に「こいつダメだ」的に描写してほしかったです(笑)
それで、第一印象を超最悪にしてから、
「そんな変態のくせに彼女がニーチェちゃんを一番理解している!」
という部分で、ぐっと読み手の心を反転させてほしかったです。

■ユング特別賞
天上天下ユングと人類滅亡の日(エキセントリクウ)234枚

「下着分析は、わたしが編み出した新しいタイプの精神分析よ。
 下着は言うまでもなく性器を覆い隠すものだけど、
 性器――つまりリビドーを抑圧し、閉じ込めているのと同義なの。
 不快な記憶を、意識から無意識へ追いやるように、ね。
 精神分析の王道である夢分析は、夢というメディアを通して、
 抑圧され、隠匿された記憶を引き出す処方。同じように、
 下着を通して、抑圧された性欲が現出するのではないかと、
 わたしは考えたわけ」

「なるほど。鋭い着眼点です。慧眼ですね」


・この作品に余計な講評は必要ないでしょう。
前作同様、今回もエキセントリクウ先生の作品ははじけていて、
とにかく面白かったです(笑)

・もちろん。人類滅亡を救いに行くまでの過程が
エピソード不足でちょっと唐突な印象があるとか、
ユングちゃんが思ったより活躍しなかったとか、
フロイトちゃんがもっと絡んでほしかったとか、
もっともっと下着分析を教えてほしかったとか……などなど
細かく突っ込みたいところはあるのですが、
そんな細かいことはどうでもよく、このハイセンスな才能を
放置しておくのは出版界の損失だと思い、
急遽、本賞を設立しました。

■優秀作品賞
てつまん 〜哲学ガールズ麻雀大会〜(牛髑髏タウン)215枚

・この作品は凄いです。「哲学ガールズで麻雀大会」という
題材的には「邪道」にあたる作品。
こんな難しい題材(一歩間違えば、色物の一発ネタとしか
見られないような題材)で、
よくぞここまで濃密に面白く書き上げたなあ、 と感心させられました。
本作品は、それぞれの哲学ガールズが、その特徴を活かした麻雀技術で
中だるみなく「麻雀バトル」を展開していくのですが、
なにより凄いのは、ちゃんとメインの核となる「物語」が
準備されているところ。
まさか最後に「感動」させられるとは思いませんでした(笑)
たぶん、下手な人が書くと、
「それぞれの哲学ガールズが『麻雀にちなんだ特殊能力』を
発揮していき、その様子を延々と並べていくだけ」で終わってしまうんでしょうね。
ひとつの作品として仕上げるというのは、こういう核となる「物語」を
しっかり書くことなのだ、と再認識させられました。

・あと、序盤戦で登場するソシュールちゃんの特殊能力が秀逸。
ていうか、やばすぎ、もうどうやって勝てばいいのか(笑)。

――――――――――――――――――――――――――――
はい、ピンフ、風見鶏、四千五百点

ソシュールは役にあわせて牌を集める必要がない。
気に入った形に牌を並べて、役として名前をつけてしまえばいいからだ。
麻雀は牌の組み合わせに何らかの「特別さ」を見いだすゲームであり、
そしてソシュールは名前をつけることによって特別さを新しく創り出してしまう。
いつかソシュールが言っていた。
「言葉は、区別するためのものなんだよ」
ソシュールに名前を与えられた瞬間、その牌の組み合わせは
他とは一線を画す特別さを与えられ、役となるのだ。

ツモ! リーチ、三九夢! まんがーん!

三九夢、英語でトリプルナイン・ドリーム。
 珍しい役を上がりますねソシュールは


また、新しい役が作られたようだ。
しかしそう思ったにも関わらず、「今の」私は三九夢という役を知っている。
今日、確かプラトンあたりが一度上がっていた筈だ。
……というように私の記憶も差し替えられてしまっているのだろう。
ああして、新しい役を作りながら、ソシュールは次々と上がっていく。
――――――――――――――――――――――――――――

もう最高です(笑)。
ソシュールの上がり役「大家族物語」ってなんやねん。(笑)

・牛髑髏タウンさんの作品は、筋がしっかりしていて、
緻密で、理屈の部分もよくできているので、
どの作品も不満点があまりありません。非常にアベレージが高く、
外れのない作家さんだなあ、というのが前回企画を含めての印象でした。

アタラクシアを追い求めて(金椎響)246枚

・前回企画の大賞受賞者で、文句なくトップを独走した金椎響さんの作品。
前作よりも文体が丁寧でかつ美しく洗練されており、
「ば、バカな、まだ伸びるだと……」と作家としての才能をまた見せつけてくれました。

・相変わらず、落ち着いた雰囲気でニヤニヤさせる青春恋愛小説を
書くのがうまいなあ、という印象。なによりエピクロスちゃんが
とても魅力的でした。
(ちなみに、飲茶が一番好きな哲学者は「エピクロス」です)

・ただし。パラケルススちゃんについて
エピソードがもうちょっと欲しかったなあとか、
主人公が惚れられる理由(読者に納得させるエピソード)が
もうちょっと欲しかったなあとか、
テーマや世界設定があまり深く語られていなかったなあとか、
「哲学ガールならでは」という部分がもう少し欲しかったなあとか、
色々気になる点もありました。
もちろん、その点を考慮しても、
十分大賞候補となる作品に仕上がっていたわけですが、
ちょっと今回の企画は、他の投稿があまりに力作揃いで、
前回のように頭ひとつ飛びぬけていたという印象ではなくなっていたのが
残念なところです。

・今回、どちらかと言えば「王道」の作品で投稿して頂きましたが、
(僕を含む)金椎響ファンの中には、前作の「死の季節」のような、
「ダウナーで薄暗いが、いつまでも読んでいたいと思わせる印象深い作風」
を期待していた人も多かったかと思います。
なので、そっちの路線も読んでみたかったなあと思いました。
ニーチェちゃん、ショーペンハウアーちゃん、バタイユちゃんが
 登場するダウナーな青春恋愛小説。
 ニヒリズムとペシニズムと退廃に
 満ちた彼女たちに振り回されながらも、
 ゆっくりと彼女たちの心に近づいていく『僕』の物語

なんて感じで、金椎響さんに書かれた日には、 居並ぶ力作エンタメ作品を
全部ゴボウ抜きしそうで、とても怖かったです(笑)

完全Q体フィロソフィア(エミムラ)296枚

・「橙。さん」がいなかったら、大賞になっていた作品。
中盤からの怒涛の展開がすさまじく、インパクトと面白さは
今回の企画でダントツでした。
特に、バタイユちゃん、デモクリトスちゃんのバトルが強烈で良かったです。

・一方で、中盤以降が面白かった分、
「序盤がおとなしすぎてちょっと……」
という印象になってしまったのが非常に残念。
主役のソフィアちゃんが記憶喪失設定で、かつ受動的でアクのない、
いわゆる感情移入しにくいキャラクター造形であったことも、
序盤が盛り上がりにくかったことの要因になっていたと思います。

・本作品は、
「(序盤)記憶喪失のヒロインが目を覚まし、右も左もわからない世界で、
キャラ紹介的に次々と哲学ガールズたちと出会っていき……、
(中盤以降)キャラが出揃ったところで、怒涛の急展開が始まる」
という構成なわけですが、たとえば、序盤で早々にヒロインの正体をばらして、
怪物じみた異能を持たせつつヒロインにパニックを起こさせ、
そこに哲学ガールズたちが関わっていく……という感じにするなど、
序盤からテンションをあげて書き手の意識を
筆がノル(作家でいうモードが切り替わる、神がかった)」状態に
移行させていれば、違う結果になったのかなあ、などと思いました。

・中盤以降は間違いなく面白いので、序盤からググッと引き込まれる内容に
なってさえていれば、「とにかく面白かった」の一言で、ズバッと大賞を
さらっていたと思います。

テストに出る! 哲学者の覚え方。 〜古代組編〜(皆本暁)188枚

・転校生に哲学ガールズをひとりひとり紹介していくというスタイルのお話。
それだけの話なのに、飽きずに最後まで読めるクオリティになっているのは、
書き手の確かな力量だと思います。

・特にデモクリトスちゃんが良かったです。
こういう感じの安心い……げふんげふん、
デモクリトスちゃんを求めていたのですが、
あんな短いキャラ設定からよくここまで魅力的に書いてくれました。

・最後に、おさらいとして、全員集合で大団円になるのも良かったです。
ここまで綺麗にエピローグを書いたら、最後の締めは難しいだろうなあ、
どうやって締めるんだろうと思っていたら、
まさかのアナクサゴラス先生の回転ネタ(笑)。
あれをあんなふうに使うとは……。
うるるときました。

・各キャラの設定をよく活かした上で、キャラクターを動かしてくれたのは
原案者としてとても嬉しかったです。
思えば、最初に「哲学ガールズ=哲学者の女の子化」の依頼が来たとき、
単に「有名な哲学者を並べて、一人一人に萌え属性を
付加するだけではつまらないなあ。もっとこう、哲学ガールズ同士が、
学園で『きゃっきゃうふふ』している姿がイメージできるような
人間関係(派閥)を持たせたい」
と考えて、1日中、各クラスの哲学ガールズたちの日常を
リアルシャドー(妄想)していたんですよね(笑)。

ソクラテスちゃんは真理を求めて他人の迷惑を省みず暴走。
プラトンちゃんは「大丈夫です、イデア界の○○はこうなってますから」と現実逃避。
それをアリストテレスちゃんが「いいかげんにしなさい」とツッコミをいれる。

そんなソクラテスちゃんたちと仲が悪いのが、
口達者な女の子のグループを率いているプロタゴラスちゃんの派閥。
プロタゴラスちゃんは、少女マンガでいうところの
意地悪な美少女ライバルキャラの立ち位置で、
「真理なんてひとそれぞれじゃない」と冷めたことを言って、
ソクラテスちゃんたちと対立。

アルケー四姉妹は、「水だ」「空気だ」と一点突破主義で
場を和ませるお笑い担当。
その四女のヘラクレイトスちゃんと仲が悪いのが。
貴族趣味で豪華絢爛で、いつも大げさにもったいぶるくせに
当たり前のことしか言わないお嬢様のパルメニデスちゃん。

ピタゴラスちゃんは、「おじゃる丸の三鬼」みたいな
無害な悪役キャラの立ち位置で、
世界征服をたくらむ秘密結社の団長としてソクラテスちゃんたちを
あの手この手で勧誘するがいつも失敗し、
毎回オチでエンペドクレスちゃんにいじられる。

そして、そんな彼女たちの学園生活を、達観しながら
すべて笑ってみているデモクリトスちゃん……。

という妄想を延々としていたわけですが、
この妄想が見事に表現されていて、
僕個人にとっては非常に印象深い作品でした。
――――――――――――――――――――――――――――
「僕は人間が大好きなんだよ。
 河原に落ちてる綺麗な形の石と、同じくらい大好きだ。
 朝露に濡れる朝顔の花と同じくらい大好きだし、
 自由研究で巣の観察をした働き蟻と同じくらい大好きだ。
 だから、人が死ぬのは悲しいよ。
 海へ泳ぎに来たのに天気が悪かった時と同じくらい悲しいし、
 楽しみにしていたプリンを床に落としてしまった時と
 同じくらい悲しい。ねぇ」

 明るい、屈託のない笑みを崩さないまま、彼女は問い掛けた。

「僕の事、気持ち悪いって思う?」

(「テストに出る! 哲学者の覚え方。 〜古代組編〜」)
――――――――――――――――――――――――――――


さて、次回の更新では、「惜しくも賞は逃したけども、
ぜひ読んでみて欲しいと思う、主催が気に入った作品たち

についてご紹介していきたいと思いますッ!

(補足)
ちなみに、今企画のMVP哲学ガールズは「ライプニッツちゃん」です。
彼女が登場する作品が多かったですよね。
うーん、なぜでしょう?
(一方で、ロックちゃん、ヒュームちゃんとか、
経験主義系が少なかったです)

(続く)

↓哲学ガールズ企画!

2012年03月22日

哲学ガールズ大賞 選考結果発表(3)〜審査員特別賞〜

続いては、「残念ながら受賞できなかったけど、
主催(飲茶)が『これは面白い』と思った作品」
をご紹介していきたいと思います。
(審査員特別賞、飲茶賞、佳作だと思ってください)

Sは集合(set)のS(黄黒真直)16枚

「脱いでくれないなら、こうだー!」

 ラッセルが高々と掲げたそれは、
 今しがた、スリのような手腕で剥ぎ取ったもの。
 すなわち、アウグスティヌスのブラ。

「――っ。きゃーーーー!!!?」


・ラッセルといえば、ブラ。
女子のブラジャーを、剥ぎ取る女の子。
ということで、その基本設定を活かし、集合論について
軽快な文章で説明してくれました。

・個人的には、天沢透さんの本作品への感想。

「アウグスティヌスのブラ」
本企画がなければ地球上に
存在しなかったであろう文字列に萌えました。


というコメントがツボに入りました。
たしかに冷静に考えるとありえない(笑)

ハッピーエンドはお約束 -A happiness comes through.-(黄黒真直)28枚

「私達はいつか死ぬ。では、いつ死ぬのか。
 明日か、来年か、それはわからない。
 でも一つわかることがある」

 パスカルは指先で、ホワイトボードを軽く叩いた。

「私達が死ぬ確率が最も高いのは、今日だ」


・パスカルちゃん先生とライプニッツちゃんの問答。
パスカルちゃん先生の確率論を使った人生論が面白いです。
そして、そのまま終わるのかなあと思ったら、
ちゃんとオチが用意されていて、そこが秀逸でした。

・黄黒真直さんは多数作品を投稿されており、すべて高得点という
とてもアベレージの高い作家さんですね。

サルトルノート(ルト)19枚

デモクリトスは死んだように笑っている。

「君も私も、肉の固まりに過ぎないよ。
 正確にはもっと細かい、粒子の集まりでしかない」

「会話をする粒子か。ロマンチックだね」


・サルトルちゃんと哲学ガールズたちの会話記録で、
まるで悪い夢をみているような作品。
でも、ひとつひとつの会話が印象深くて、意味深で
僕は好きです。

一休ちゃん〜これが私の生きる道〜(別府)19枚

「それなら、一度も遅刻をしたことのない者からケシの実を
 もらってきなさい。そうすれば、わかりますよ」

「ケ、ケシの実ですね! わかりました!」

 数日後、走留子は一休とともに、また生徒会長室を訪れた。

「おや、走留子ちゃん。
 どうです、遅刻をしたことのない子は見つかりましたか?」

「ええ、遅刻をしたことのない子は、この学園に三人いました」

「えっ! 三人もいたの!」


・今企画で大人気の一休ちゃんが主役の作品。
個人的には、一休ちゃんに振り回される
ダメダメな釈迦ちゃんが可愛かったです。
ケシの実の方便がうまくいかなかったときの
釈迦ちゃんのごまかし方が妙に好きでした。

ダンシング☆アブダクション(丸屋ツグヤ)19枚

 そして、ゴウンゴウンという機械音と共に、
 ステージ中央からせり上がってきたのは――。
 ヘンタイである。
 服装があまりにヘンタイである。
 銀色がベースになっている、体に密着した、
 いかにも未来人風の服を着た変態少女が仁王立ちで現れた。
 そしてその少女はさっきから流れている件のイントロに合わせ
 振付を踊り、あのタイミングに合わせて叫んだ。

「UFO!」


とても美しい美少女のUFO少女パースちゃんが、
懇切丁寧にアブダクションを説明しくれる作品デス
アブダクション ハ サイコー デス サイコー デス
サイコー デス サイコー デス

ソーカルちゃんのお正月(丸屋ツグヤ)20枚

・ソーカルちゃんとショーペンハウアーちゃんと一休ちゃんの
正月のお話。およそ誰も想像しなかったであろう奇妙な組み合わせの
この3人のグダグダな雰囲気が良い。
あと、このソーカルちゃんは、芯が通っていて好感が持てました。

赤の信で号(てんぺす)51枚

「しかしだ、しかしプラトン。
 何故……赤信号だと渡ってはいけないのだろう?」


・「赤信号はなぜ渡ってはいけないのか?」という疑問を
晴らすために始まったソクラテスちゃんとプラトンちゃんの問答。
その問答は、登校中の哲学ガールズたちを巻き込み、
次々とリタイヤさせていくッ!
軽快なノリの会話が面白かったです。
特に、「国土交通省」という回答で噴き出しました。

真夜中のソフィスト(なかた)46枚

・プロタゴラスちゃんが主役の作品。
この作品は、状況設定が熱いです!

物語は、プラトンちゃんとアリストテレスちゃんが
プロタゴラスちゃんに「説得の依頼」を
しにいくところからはじまります。
ソクラテス派の彼女たちが、なぜライバルのプロタゴラスちゃんに
そんな依頼をするのか。
それは、無実の罪で捕まったソクラテスのため。

「つまりソクラテスちゃんを弁護すればいいのかしら?」

いいや、そうではない。プラトンたちが
プロタゴラスちゃんに依頼した内容とは、
「無実の罪を受け入れ、牢屋から出ようとしない
 ソクラテスちゃんを説得してほしい」
ということであった。

はたして、プロタゴラスちゃんは
宿命のライバルであるソクラテスちゃんを説得して、
見事牢屋から出すことができるのか!?

という感じで、シチュエーションが
とても秀逸な作品でした。

マキャベリちゃんの野望と少年マンガ的友情(谷津矢車)42枚

・マキャベリちゃん、孫子ちゃん、韓非子ちゃん
という最凶の哲学女子のドリームチームが、
生徒会を転覆させるというお話。
テンポがよく、各キャラクターもよく立っていて面白かったです。
ただし、特に「あっ」というような展開もなく、すぐに終わって
物足りない印象があるので、
長編にしてもっと話を広げても良かったかなあと思いました。

以上になります。
面白かったから、みなさんもぜひ読んでみてください。

次回は、「イラストの選考について」です。

(続く)

↓哲学ガールズ企画!

「哲学ガールズ」の誤りと訂正

書籍「哲学ガールズ」は、2012年3月16日に無事発売されました。
しかしながら、私の監修能力不足で本文の「表記の誤り」等を
すべて拾い上げることができておりませんでした。

お買い上げいただきましたみなさまには
大変ご迷惑をおかけしましたことをここに深くお詫びを申し上げます。

間違いをそのままにしておくのは良くないので、
間違いの情報をこのページに集約したいと思います。

見つけた誤りについては、随時ご報告ください。
こちらのメールフォームより随時ご報告ください。
―――――――――――――――――――――――――――
p.63 アンセルムスの生没年
  誤:BC624年頃〜BC546年頃
  正:1033年〜1109年
p.77 イエス=キリストの著書
  誤:『福音書』『新約聖書』
  正:なし
p.77 イエス=キリストの出身地
  誤:ギリシア
  正:パレスチナ
p.83 誤字(第→全)
  誤:『方法叙説』は第六部によって構成され
  正:『方法叙説』は全六部によって構成され
p.87 『精神現象学』の共著が間違い
 ※シェリングとの仲違いを確定づけた書なので共著なんてありえません
  誤:『精神現象学』をシェリングと共に出版
  正:『精神現象学』を出版
p.87 ヘーゲルの著書
  誤:『倫理学』
  正:『大論理学』
p.105 ルソーの著書
  誤:『社会契約説』
  正:『社会契約論』
p.115 ヴェーバーの出身地
  誤:ギリシア
  正:ドイツ(プロイセン)
p.127 キルケゴールの出身地
  誤:ギリシア
  正:デンマーク
p.133 フロイトの記述の誤り
  誤:ナチスによる迫害から逃れるため3歳の時にウィーンへ
  正:(ナチスが原因ではない)
p.151 誤字(倫理→論理)
  誤:倫理学、倫理的分析
  正:論理学、論理的分析
p.155 フッサールの出身地
  誤:ギリシア
  正:オーストリア帝国(チェコ)
p.159 メルロー=ポンティの著書
  誤:『構造と哲学』
  正:『行動の構造』
p.165 レヴィ=のストロースの出身地
  誤:フランス
  正:ベルギー
p.207 生没年
  誤:BC767年〜BC822年
  正:767年〜822年
p.207 最澄の出身地
  誤:ギリシア
  正:日本
―――――――――――――――――――――――――――
本書籍は、投稿者の素晴らしいイラストのおかげで、
とても良い本になったと自負していますが、
基本的な事項(哲学者の出身地等)が間違っていること(私の監修能力不足)で、
本書全体の価値が下がってしまうのは
本当にもったいないことだと思っております。

ぜひとも、ご協力のほど宜しくお願いいたします。

2012年03月23日

哲学ガールズ大賞 選考結果発表(4)〜イラスト選考の裏話〜

哲学ガールズ88人のイラスト募集についてですが、
おかげさまで、なんと2000枚を超える応募がありました!
(サイズオーバーで載せられなかったイラスト含む)
しかも、その質がとても高く、書籍「哲学ガールズ」のイラストは、
この応募イラストから9割近く採用されるという結果となっています。

ようするに、イラスト募集企画は大成功でした!
投稿して頂いた皆様方には、この場を借りてお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました!

さて、今回は、イラストの選考についてちょっとした裏話を
述べたいと思います。

■イラスト選考で悩んだところ
まず、イラスト選考のやり方ですが、
「版元」と「飲茶」で別々に選考を行い、
「せーので」と選考結果をつき合わせて、どっちにするかを
決めるという方式でした。
(ちなみに、「版元」と「飲茶」の選考結果は意外にずれてました。(笑))
なお、最終決定権は、編集さんにお任せしています。

さて、こういうやり方で、哲学ガールズ一人一人を
決めていったわけですが、一番こまったのが激戦区キャラです。

たとえば、ヘラクレイトスちゃん。









さぁ、皆さんならどれにしますか?
見てのとおり、どれも段違いにレベルが高いわけで、
とても選考が大変でした。

ちなみに、傾向としては
ファンタジー(魔法使い、錬金術師、魔物使い)系」キャラが
「激戦区」になりがちでした。
(やっぱり、絵師さんたちが、普段から、ファンタジー系の衣装の
キャラを描きなれているからでしょうか)
特に、フィチーノちゃん、ホッブズちゃんは激戦区でした。

■どっちにするかメチャクチャ悩んだイラスト
結果として不採用になったのですが、
これは、もう本当に、どっちにするか悩みまくった印象深いイラストたちです。

達磨ちゃん先生

すごいイメージどおりだったイラストです。
こんな先生にならいたいです。

デカルト

いっけん普通の女子高生というイラストなんですが……
なぜか「デカルト!」って感じのイラストなんですよね。

アウグスティヌス

こ、こんなけしからんアウグスティヌスがかつていたでしょうか!

茂木ちゃん先生

結果として、茂木ちゃん先生の採用イラストは、
「魔法少女系の萌えイラスト」となりましたが、
こういう「ちょっとリアル」な方が、
より「ダメージがでかい」のではないか……とか
色々考えて最後まで悩みまくりました。

そういえば、書籍「哲学ガールズ」の発売後、
担当さんに「茂木先生って怒ってないですかねえ?」
と聞いたら、「あ、じゃあ明日、きいてみますね」
と明るく言ってたのですが、
その後、いまだ返信がありません。
無事なのでしょうか……。

■哲学ガールズイラスト(ソーカル部門)大賞発表
諸般の事情で、ソーカルちゃんは書籍「哲学ガールズ」に
掲載することができませんでした。
ご投稿していただいた皆様には大変申し訳ありませんでした。
お詫び申し上げます。

しかし、せっかくですので、
「もしソーカルちゃんが載るとしたら、採用されたであろうイラスト」を
本記事で発表したいと思います。

栄えある、哲学ガールズイラスト(ソーカル部門)大賞は……


下東神菜さんに決定いたしました! おめでとうございます!

見てるか、ソーカル先生!!
 薄い本出すぞ、ゴラァ!!


……とゴルギアスちゃんが言ってました。
ゴルギアスちゃんが。

さて、いよいよ次回の記事で、本企画を締めたいと思います。

(続く)

↓哲学ガールズ企画!

2012年03月24日

哲学ガールズ大賞 選考結果発表(完)〜閉会宣言〜

「PHP研究所コミック出版部」さんとの共催ということで
はじまった今回の企画「哲学ガールズ」ですが、
イラスト、小説ともに
本当にレベルの高い投稿を多数いただきました。
あらためて感謝の意を表します。

また特に今回嬉しかったのは、哲学ガールズ小説募集で、
第一回企画の参加者が、今回の企画でも多数参加してくれたこと、
そして、前回よりも明らかに筆力が向上していたことでした。
企画主催としてとても胸が熱くなりました。

参加者ならびに関係者、協力者のみなさま、
ライトノベル作法研究所のうっぴーさん、
バナーを作ってくださった絵師の想達さん、
本当にありがとうございました!

以上を持ちまして、
第二回 哲学的な彼女企画『哲学ガールズ』を終了と致します!!

(追伸)
折を見て、哲学ガールズの海外向けページを作ってみたいと思ってみます!


世界へ!

2012年03月26日

グラドル倉持由香さんに『史上最強の哲学入門』を献本

ツイッターでの色々な出会いについて。

グラドル(グラップラー刃牙アイドル)の倉持由香さんにッ
ツイッター経由で『史上最強の哲学入門』を献本したところッ
なんとブログで紹介してくれましたッ!

ありがとうございましたッ!(^△^)
同じバキファンとして、これからも倉持由香さんを
応援していきたいと思いますッッ!



しかも、拳技による激励写真までッッ……!


ってこの型……動物……?
 しかもでかい……相当にッ……
 これはゾウ? いや、サイ……?
 〜〜〜ッウッソ…………





ト……ッッ、トリケラトプス拳ンン!?

倉持由香さんのオフィシャルブログ
まいにちくらもっち。

「グラドル」が実は「グラップラー刃牙アイドル」の略だったッッ
http://togetter.com/li/270370

2012年03月27日

バキ萌え×哲学の競演「哲学ガールズ」「史上最強の哲学入門」同時発売!

「哲学ガールズ」と「史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち」の2冊が
2012年3月16日に、無事、発売されました!

■「哲学ガールズ〜萌えて覚える叡智の学園〜」



「もし、クラスメイトの女の子が、全員、哲学者だったら!?
 古今東西の哲学者を女体化したイラスト満載の
 萌えて覚えるシリーズ最新作!」


という感じの本で、
飲茶は「監修」として、特に以下について関わらせて頂きました。

・イラスト選考(一部)
・イラスト台詞(一部)
・キャラクター設定
・はじめに(理事長としてご挨拶!)
・四コマ漫画の原作(ネーム描くの楽しかった!)
・放課後コラム
・クラス紹介(四コマ漫画のページのところにあるやつ)


もちろん、本文(哲学の解説)の校正もしているので、
本文に何か間違いがあったら、監修の責任と思って、
石をぶつけてください。(涙)

ともかく、自分が関わったところは、
ああ、うん、これ書いたの明らかに飲茶だねwww
という感じになっていますので、
ぜひともどうか宜しくお願い致します!

■「史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち」



インド哲学、仏教、般若心経、諸子百家、老荘思想、禅
的な何かについて解説しています、よろしくおねがいしまーす。

2012年03月28日

「バキ妹」があったらどんな感じだろう?

「哲学ガールズ」でPHP研究所さんと一緒にお仕事を
させていただいたことをきっかけに、
PHPさんのラノベ小説(スマッシュ文庫)の方も、
よくチェックするようになったのですが……、
こういった本があるみたいですね!

ウルトラマン妹 (スマッシュ文庫)

妹がスーパー戦隊に就職しました (スマッシュ文庫)

イモート・オブ・ザ・リング (スマッシュ文庫)

妹がゾンビなんですけど! 3 (スマッシュ文庫)

なんでしょうか、この異常なまでの「妹押し」は(笑)。
特に、「ウルトラマン妹」は、編集さんが円谷プロまで行って
ちゃんと企画をプレゼンして公認してもらったとのこと(笑)。

ちなみに、これらの本を出したレーベルは、スマッシュ文庫「妹組」と言い、
妹萌え専門レーベル」として、今後も、妹萌えを出していくみたいです。

でも、『ウルトラマン妹』並にインパクトがある『妹ネタ』って
他に何があるだろう? 仮面ライダー妹? うーん?


などとちょっと考えてみたところ、
バキ妹」という単語が頭に浮かんできました。

よく考えたら、勇次郎は、世界中に隠し子がいるはずなので、
バキに「妹」がいてもおかしくないですよね。

残念ながら僕には小説を書く能力がないので
(雑学知識系の本しか書いたことないし)
実現は無理ですが、面白いネタなので、
自分だったらどんな感じに書くかなあと、
想像だけでもしてみると楽しかったり……。

うーん、やっぱり、冒頭は、
とある記者がオタク評論家「宅蜂郎(50)」の元を訪ねるシーン
からでしょうか。

 ◇

「ははは、記者が訪ねてくるのは久しぶりだ。
 萌え文化のことなら何でもきいてくれたまえ」

「ほぉ、妹萌えについてか……。
 ふむ、たしかに、
 いま日本は空前の妹萌えブームだな……。

 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』から始まり、
 はては『ウルトラマン妹』まで……
 ついには妹萌え専門のレーベルまで出来たぐらいだ」

「ん? なぜ、そんなブームが起きたかって?
 はは、そりゃあ、
 今は男が『草食男子』とか言われる軟弱な時代だからな、
 身近で、年下で、幼く……
 しかも自分を無条件に慕ってくれるような存在……
 そんな都合の良い異性が欲しいという深層心理の表れ

 ――といったところでどうかな?
 なかなか読者を釣れそうな論説だろう?
 まぁ、そんな感じで適当に記事を仕上げてくれたまえ。
 それより、このフィギュアみてくれよ、
 限定3体しかない、レアな――」

ばきぐしゃあああ!
突然、持っていたフィギュアを
握りつぶす「宅蜂郎(50)」

「なぜ、その名を……。
 ……人が悪いな、知っていたのか」

 ◇

「いま、日本を襲っている空前の妹ブーム。
 しかし、おかしいだろう?
 妹なんて、本来、生物的な本能から言っても、
 決して恋愛対象にならないはずの存在。
 それがなぜ、ここまでブームになっているのか?
 さっき私が言った程度の理由じゃ、
 とうてい説明なんかつかないさ」

「とある動物学者の報告だが……。
 カモの兄妹は、生まれたばかりのときは仲が良いが、
 ある程度の年齢になると、互いに避けるようなり、
 決してつがいにならないという。
 生まれながらに備わっている自然の摂理というやつだな。

 だが……、その摂理に逆らい、世界中のカモが、
 突然、兄妹同士で求愛活動をしはじめたとしたら……
 君はどう思うかね?

 いいかいッ!?
 いま、この日本で起きている妹萌えブームという現象はッ
 そういうたぐいの異常事態なのだよッ!
 そんなこと、『自然の摂理』を捻じ曲げるほどのッ
 『何か』がなければッ
 決して起こりえないッ!

 そうさ、もう君も察しがついているのだろうッ!?
 この神が定めし『自然の摂理』を捻じ曲げた現象はすべて、
 ひとりの『妹』の強烈な『兄への想い』が、
 引き起こしている、ということに――ッッ!
 そんな話、誰が信じられるだろうか――ッッ!」

 ◇

「……ああ、あるさ。会ったことが。
 そうあれは、まさに
 地上最強の妹だったよ――」

と、「宅蜂郎(50)」の回想にかぶせて、
物語を始める感じですかねえ。
なにせバキが歩くだけで、ネズミが大発生して道を埋め尽くす異常現象が
起きるくらいだから、これもアリかなあと(笑)

じゃあ、肝心のバキ妹はどんなキャラにしますかね。
これはもう定番中の定番として、
「おにいちゃん大好きキャラ」にするのが良いですよね^^

「あたしの夢ですか?
 ええ、もちろん、おにいちゃんの子供を産むことです。
 なぜって、父を超えることが息子の務めであるように
 父を超える子を産むことが娘の務めだからです。
 そして、そのためには、相性ばっちりの最強の男性、
 すなわち、兄と結ばれるのが必定ッ!」

「というか、そもそも、
 妹って必ず『兄』に恋をするじゃないですか?
 でも、その恋はたいてい実りません。
 なぜって世の中の妹たちがそんな『本心』を口走ったら、
 世間の冷たい視線に晒されてしまうから。
 あげく、隣に住んでいるだけのあほ毛の幼馴染に兄を奪われたりッ!
 どこの馬の骨ともわからぬプロレスラーの娘に兄をSAGAられたりッ!
 なぜ、こんな不条理が世の中に、
 まかり通っているかというと、すべて
 あたしにッ、妹にッ、『腕力』が足りないからッッ!
 (ぐにゃあああああああああああああああ)」

とまぁ、こんな感じの「お兄ちゃん大好きっ子」で
ラノベ定番の理想の妹って感じですかね。
あとは、巻数が進んだら、テコ入れに、
花山妹、烈妹、独歩妹、
夜叉猿妹、ガイア妹(別人格の一人)とか
随時出していけば、もう人気はバッチリかと。

ともかく、スマッシュ文庫「妹組」の
今後の展開に期待したいと思います。

(追伸:他にいただいたアイデア)
・「お兄ちゃんのバカー!」が基本鞭打。
・「強くなりたくば喰らえ!」と兄の枕元で仁王立ち。
・お兄ちゃんへのお弁当は、基本おじや(飲み物は炭酸抜きコーラ)。
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