2010年07月01日

史上最強の哲学入門、製作秘話(3)

史上最強の哲学入門、製作秘話。板垣先生と会うまでの話。

今までにない哲学入門書を書くにはどうしたらいいのか?

他のアイデアとして、
ラノベ風に哲学入門書を書いてみる
というのもありました。

ラノベ風といえば、やはり「可愛いい女の子」でしょう。
すなわち萌えキャラ。その萌えキャラが、
「主人公(読者の分身である、普通の男の子)」とラブラブしながら
哲学を語るとかそういうお話を書いたらどうだろうか
と考えたのです。たとえば、こんな感じ。

零音(れいん)、さっきの映画、
 <私>の頭の中の消しゴムどうだった?


うん、とても面白かったわ……哲学的

え、哲学的?

時間とともに記憶が薄れていくヒロイン。
 記憶がなくなれば、恋人を恋人と認識できなくなるという物語。
 まさに同一性の問題をテーマにした哲学映画なわけなのよね


い、いや、たぶん恋愛映画だと思うけど……

まずそもそも、なぜ『昨日の他人』と『今日の他人』を
 『同じ人間』として認識できるのかしら?
 当然、『記憶』が作用しているからだけども、
 その『同一である』という確信は、何に由来するものなのかしら?
 たとえば仮に、科学技術が進んで、
 私とまったく同じ分子配置を持つ人間を作り出せたとして、
 その二人を並べてみたとき、きっとあなたは『二人とも同じ零音だよ』
 とは言わないわよね。
 『一方が本物(オリジナル)で、一方はコピー品だよ』と言うと思う。
 でも、物理的には、両者とも、あなたの『記憶』と
 完全に一致する『零音』なのよ。じゃあ、今度は、私の脳を取り出して、
 脳だけを別の身体に移植した場合を考えてみたとして
(中略)
 でも、零音という『人格』が『零音』だと見なす根拠であると言うなら、
 もしコンピュータ上で『零音』の人格を再現できたら、
 あなたはそれを『同じ零音』として見なさなければならなくなる。
 そうすると、今度は
(中略)
 これはちょっと笑ってしまう話なんだけど
(中略)
 いや、まずその前に、そもそも『私』は『私自身』を
 どうやって『同一』の人間であると認識しているのかしら?


……え、えっと、あの〜

僕と零音。ごく普通の高校生である僕たちは、ごく普通に恋をし、
ごく普通に恋人同士になりました。
でも、ただひとつ、普通と違っていたことが……。

そう、彼女は哲学者だったのです!

『哲学的な彼女』
エピソード1 〜彼女は哲学者〜

彼女の名前は、黒柳零音(くろやなぎ れいん)。
独我論研究会の会長。チャームポイントは、目の下のくま。
哲学に精通する彼女は、学園の一部の連中から熱烈に慕われ、
よく相談を受ける。
そして、僕たちはさまざまな不思議な事件に巻き込まれるのだ。

あの子が持っていた黒いノート。
 その表紙のタイトルには、こう書かれていたわ。
 『クオリアデスノート


クオリア……デスノート? な、なにそれ?

そのタイトルから察するに……、そのノートに
 名前を書かれた人間は、クオリアが消失し、精神的に死亡する。
 すなわち哲学的ゾンビになるということよ


哲学的ゾンビ? えっと、何を言っているのかさっぱり

いけない、早くそのノートを使うのをやめさせなければ

―――――――――――――――――――――――

ソシュールデスノート。なるほど、謎が解けたわ。
 いつの間にかこの世から、『ちょべりば』という『言語』が
 消え失せたのは、このノートの力だったのね


死語を作り出すノートってこと?じゃあ、そんなに害はないよね

違う! 『言語とは差異の体系である』
 というソシュールの哲学に従うなら、
 このノート……使い方次第では『宇宙』が崩壊する!
 ちなみにソシュールの哲学については、
 飲茶著『史上最強の哲学入門』の第四章がとてもわかり易いわ


――――――――――――――――――――――

無理だ、僕に世界が救えるわけないだろ!

信じて……<あなた>の中にある『何か』を……

『何か』ってなんだよ!

……哲学的な何か……(がく)

零音〜〜!

――――――――――――――――――――――
な〜んて感じで考えたのだけども、元の依頼から
かけ離れすぎているので、さすがにまずいからボツに

え? また話が進んでない?
口を慎みたまえ!嘘は言っていません!
数瞬の妄想を詳しく語って(略

ゴホン。ともかく、色々な試行錯誤をしていたさなか、
編集部よりとんでもない連絡が入ったのです。

板垣先生とアポが取れました!
 飲茶さんと会って話しがしたいそうです!


(続く)

2010年07月05日

緊急告知 哲学的ヒロイン募集企画!

先日、「史上最強の哲学入門、製作秘話(3)」にて、
哲学的ヒロインを登場させた小説を書いてみる
という記事を掲載しましたが、ツイッター上で思わぬ反響と提案があり、
このたび「企画として作品を募集しよう」ということになりました。

今、その企画のために、色々考えているところです。
みなさんのお知恵をお貸しください。
■コンセプト(お題)
新しい萌えの形として、「哲学的なヒロイン」を創出するのが目的です。
哲学的ヒロインを登場させた小説」を書いて投稿してください。

(哲学的ヒロインの例)
・既存の哲学理論を語りまくるヒロイン
・日常なことをすべて哲学の問題に還元してしまうヒロイン
・突然哲学的なことをぼそっと呟くヒロイン
その他、独自解釈の哲学的ヒロインでもOKです。

■最後に
「哲学的なことを語るヒロインと言えば?」と言われても、
特にメジャーなキャラクターの名前が出てこないわけですから、
市場としては、まだ発掘されていないカテゴリのヒロインだと思います。
ゆえに、うまく表現できれば、いろいろとチャンスがあるかと。

というわけで、
史上最強の哲学的萌えヒロインに会いたいかーーー!!

おおおおおおおおおおおおおおおおお!!

わしもじゃ、わしもじゃみんな!

2010年07月13日

史上最強の哲学入門、製作秘話(4)

そのとき編集部よりとんでもない連絡が入ったのです。

板垣先生とアポが取れました!
 飲茶さんと会って話しがしたいそうです!


全く予想外の展開!
ていうか、あの企画で本当に板垣先生に
連絡してしまうとは! おそるべし、担当さん!

この連絡してくれた担当さん、名を「園田さん」といいます。
そう、奇しくも、バキ作中の人物(オリバに仕事を依頼しに
刑務所まで出向いた園田警視正)と同じ苗字だったのです。
まさにシンクロシニティ

これはもしかしたら、もしかするかも……

まるですべてが予定されていたかのような
運命的な何かを僕は感じました。

で、板垣先生との打ち合わせ当日。

いきなり板垣先生の仕事場に向かうとパニックを起こしそうなので、
まずは担当さんと駅で落ち合い、2人で喫茶店に入って
事前の打ち合わせをすることに。

さていったい板垣先生にどうアプローチしたものか

なにせ相手は、週刊連載の超人気漫画家。それに引き換え、
こちらは無名のなんだかよくわからないヘンテコな名前の、
哲学の本を書いている人。
普通に考えたら何の繋がりもなく相手にもされない関係。

そして、ここで一番大切なことは、
板垣先生はまだ仕事の依頼を了解したわけではない
という事実。
そう、決して「表紙を描きます、会いましょう」ではなく、
あくまでも「電話じゃよくわからないから、とりあえず
会ってみて話を聞くだけだからね
」と念を押しての打ち合わせであり、
つまりは、「本当に板垣先生が表紙の依頼を引き受けてくれるか」は
今回の打ち合わせの出来次第なのです。

という状況であったため、本来、僕は担当さんと
いかに板垣先生に自己アピールするか」を話し合うべきでした。
しかしこのとき完全に舞い上がっていた僕は、
いかにこの状況が、園田警視正がオリバに会いに行くのに、
酷似しているか
」を担当さんに語っていました。
そして、「園田ネタをふられたら、
ちゃんと反応しなくてはいけません!

と熱っぽく語っていたのです。
(園田ネタ=「中華マンジュウを出されたら、 指1本で口に押し込んで窒息」、
「仕事が早ええんだな」など)

当然、心の準備ができるわけもなく、 とうとう本番の打ち合わせの時間に。

タクシーで板垣先生の仕事場に直行。
そして、何も思いつかないまま、頭真っ白で、
入り口のドアの前へ。
アシスタントの方が出迎えてくれ、ドアが開きました。

この奥に、あのバキの作者、板垣恵介先生が……。

この打ち合わせですべてが決まる……。
 もし、板垣先生にうまく話ができなかったら……
 この話は流れる……


プレッシャーと興奮で混乱した僕は、
扉をくぐりながら、こう考えました。

もしも……もしもダメだったら……
 浦安鉄筋家族の浜岡賢次先生に表紙を頼もう……








決意を胸に秘め、いざ勝負!

2010年07月20日

哲学的な彼女企画(ラケンと主催)

「哲学的な彼女」小説募集企画について、
ライトノベル作法研究所の管理人うっぴーさんにご協力していただけることになりました!

■経緯
今回、成り行きで小説募集の企画を立ち上げたわけですが、
ここはやはり経験者さんに
協力を仰ぐのが良いだろう、という周囲のアドバイスもあり、
さっそく、その方面の老舗サイト、ライトノベル作法研究所の
管理人うっぴーさんにお会いし、お話を伺ってきました。
その結果、新しくサーバ(投稿された小説を管理するためのサーバ)を借りて、
一緒に大々的にやりましょう、ということになりました(^▽^)

ちなみに、ライトノベル作法研究所(以下、ラケン)は、
ライトノベルの書き方を指南するサイトであると同時に、
サイトの利用者たちで小説を投稿し感想を述べ合ったりして、
互いに切磋琢磨しプロデビューを目指す「作家の虎の穴」みたいなところで、
その手のサイトでは一番有名な老舗サイトです。もちろん、
すでにプロの作家を何人も輩出しています。ここ最近では……

恋敵(ライバル)はお嬢様☆ (電撃文庫) :時田 唯著
→天下の電撃文庫!


這いよれ! ニャル子さん (GA文庫) :逢空 万太著
→ドラマCDまで出てる人気作品!


じんじゃえーる! (HJ文庫) : 原中 三十四著
→「○○までにデビューしないと罰ゲーム」って賭けしてたら本当にデビューしやがった


幻月のパンドオラ (集英社SD文庫) 桃乃 蛍著
→桃乃 蛍のペンネームは一緒に考えました


・第9回SD小説新人賞佳作「ライトノベルの神さま(仮)」青々著
 (2010年9月以降の発刊予定
→受賞したて。また夢を叶えてデビューした人がひとり

などなど、上記の方たちのように、
ラケン出身でプロになったライトノベル作家さんもたくさんいます。
(なお、何人かはチャットでお付き合いさせていただいています。
「プロになれたらいいなあ」と言っていたデビュー以前の状態を知っているので、
彼らのプロデビューはまさに「夢は叶うんだ!」という感じで感無量です)